「金を渡すからシャブを仕入れて密売しろ。それで借金を返せ」──こんな脅し文句を言い放ったのはヤクザでもVシネ俳優でもない、仏門に帰依する現役の仏僧というから驚きだ。素顔を探ると、清原和博被告にもヒケを取らない「シャブ漬け僧侶」の外道ぶりが明らかになった。
問題の僧侶A氏を知る人物はこう評する。
「彼は日蓮宗の僧侶です。有名な戦国武将、佐々成政が陣を構えたこともある歴史深いお寺で副住職をしています。見た目こそコワモテな印象を受けますが、実際に会って話をすると物腰も柔らかく、檀家からも評判がいい名士といった感じの人です」
僧籍を置く日蓮宗においてもさまざまな肩書を持ち、その宗派の中での階級は上から3つ目の僧正。北陸地域の「青年会」の要職を務め、地元の冷凍食品会社の外部顧問まで兼任しているというから、その人望の厚さがうかがえる。しかし、彼には裏の顔が存在する。それが冒頭のセリフに如実に表されているアウトローな一面だ。前出の知人男性が告発する。
「密売の話を持ちかけられたのは、A氏に300万円の借金がある男性でした。なかなか返済ができない男性に業を煮やしたA氏は、コトもあろうに簡単に金になると覚醒剤の売買を勧めたんです」
覚醒剤取締法によれば営利目的の覚醒剤所持は懲役1年以上の有期懲役刑となり、それを強要することも決して許されない違法行為だ。しかし、借金返済の手段とはいえ、一市民が覚醒剤の密売など思いつくだろうか。
「彼は昔からクスリを使用している疑惑があります。分厚い経典の中をくりぬいて、そこにブツを隠していたっていう噂も周囲から聞きましたね。そういった経緯もあって覚醒剤の密売という考えになったんでしょう」(前出・知人男性)
この密売計画はある程度まで進んでいたようだ。北陸地方に住むA氏は、覚醒剤の入手ルートに詳しい人物と接触するため、関西方面に何度も足を運んでいた。実際にA氏と会った人物はこう打ち明ける。
「腹の底が見えん人間やったな。話をすると、とても低姿勢。でも聞いてくる内容はクスリのことばかり。『あぶったほうが効くんですか?』とか、自分が使う前提の話ばっかやった。人面獣心とはこのことやと思ったわ」
もちろん、この人物がA氏に覚醒剤の流通にまつわる情報を明かすことはなかった。だが、彼のもとにはA氏からこんな文面のメールが届いた。
〈いつでもアブアブできる準備お願いします〉
アシがつかないよう、隠語を用いて覚醒剤を催促していたというのだ。