野球賭博問題で大揺れし、開幕が危ぶまれていたプロ野球が何事もなかったかのように開幕。セ・リーグではフレッシュ監督同士がぶつかる伝統の一戦が盛り上がりを見せ、パ・リーグでは昨年最下位の楽天が好スタートを切った。その一方で開幕早々、各球団で数々の「事件」がロケットスタートしていたのである。
「超変革」をスローガンに掲げた阪神では、金本知憲監督(48)がブチかましてくれた。関西のメディア関係者が言う。
「実は、4月3日が金本監督の48歳の誕生日で、スポーツ紙のカメラマンが恒例のバースデーケーキを用意し、雑感写真を撮影しようとしたのですが、本人が拒否した。阪神の監督では歴代初です。巨人でも長嶋さんや原さんもやってくれたのに。『いったい何様なんだ?』の声が飛び交いました。でもあのコワモテで、しかも開幕ダッシュが決まって、関西マスコミにとっては金本サマサマですから誰も苦言は呈しません」
現役時代には、気に食わない記事を書いた記者が首からブラ下げていたIDカードを手ではねのけ、長らく完全取材拒否をしたこともある、「キレるとコワイ人」だけに、逆らうのは得策ではないのだ。
そんなチーム内には、火種もくすぶっていた。
3月31日のヤクルト戦は、延長12回を戦い6対6の死闘ドローとなったが、この試合で阪神は、新守護神のマテオ(31)に3回61球を投げさせた。翌日からDeNA3連戦が控えていることを考えると完全なセオリー無視の采配。実際、4月1日のDeNA戦ではマテオを使えないことで先発の能見篤史(36)を9回まで引っ張り、逆転サヨナラ負けを喫している。この起用法を決めたのは、矢野燿大作戦兼バッテリーコーチ(47)で、金本監督が継投策を丸投げしているというのだ。
「金本監督は就任時から『俺はピッチャーのことはわからんから、全てを矢野コーチに任せる』と断言していました。先発ローテや人員配置、継投は矢野コーチに任せっきりです。ただ、矢野コーチは指導者経験ゼロ。現役時代は頭脳派の名捕手でしたが、経験がないため目先の1勝を見がちです。継投ミスが頻発すれば、金本監督との信頼関係にヒビが入ってチーム内部から崩壊する可能性もあります」(球団関係者)
ある球団OBは、
「継投ミスで3試合は負けている。こういう負けが、9月の優勝争いに響いてくる」
と死角を指摘していた。
そんな阪神に後れを取った中日には、阪神との開幕3連戦を終えた時点で、早くもコーチ人事を行う異常事態が発生。小山良男バッテリーコーチ(35)を二軍の小川将俊バッテリーコーチ(37)と入れ替えたのだ。名捕手だった谷繁元信監督(45)が、バッテリーの反省ミーティングなどを一切せず的確な指示もできない小山コーチに激怒し、降格を言い渡したのが真相だ。キャンプ中も、他球団のスコアラーが偵察に来ている前でチームのサインをバラしたりと、谷繁監督はその能力に疑問を投げかけていたが、すぐに交代人事を遂行できない理由があった。球団関係者によれば、
「小山コーチは横浜高校時代に松坂大輔(35)とバッテリーを組んでいたことで有名。WBCでもわざわざ松坂用のブルペン捕手として呼ばれたほどですが、一軍出場はわずか9試合。4年でクビになり、選手実績はほとんどありません。もともとコーチ能力が欠けていたのですが、落合博満GM(62)が推したようです。開幕前から谷繁監督は『小山を代えてほしい』と落合GMに伝えていましたが、なかなか許可が降りず、開幕3連戦後に実行された」
ハシなくも昨オフから引きずっている、谷繁監督と落合GMの確執の一端が現れた形だ。