「毎度おさわがせします」といえば中山美穂! と答えてしまうのはまだまだ素人。アイドルフリークが注目していたのが、同シリーズがデビュー作の藤井一子(45)。現在は芸能界を引退している彼女に、青春を謳歌した80年代を振り返ってもらった!
5万人とも言われた倍率のオーディションをくぐり抜け「毎度~2」(85年、TBS系)でデビューした彼女は当時、15歳。下ネタが飛び交い、ミポリンが下着姿を披露したりと、「親が見せたくないドラマ」との異名もあった同ドラマだったが‥‥。
「恥ずかしいシーンもありましたが、それまで演技経験もなかったし、撮影自体が大変で大変で。緊張してばかりで記憶がないくらい(笑)。でも、次に主演したドラマ『夏・体験物語2』(86年、TBS系)は、今でも思い出深いですね」
同作は「毎度~」同様、思春期少女たちの“性”がテーマ。各回サブタイトルには「ロストバージン」などの文言が並ぶ。
「同世代の女の子約20人が出演していて、みんな仲がよくて撮影は楽しかったです。でも、下着姿になるシーンが多くて、その時はみんなライバル(笑)。スタッフさんが『前回◯◯ちゃんが下着になったから、それ以外の人たち集まって~』と呼びかけ、『じゃんけんぽん!』って(笑)。勝てば下着は逃れられて、負けたらもちろん、その日の下着決定。だからみんな、じゃんけんは真剣そのものでした」
同様に“処女を捨てる”のにも順番があったという。
「撮影時は高校生でしたから、抵抗感はちょっとだけ‥‥。でも、ドラマの流れもわかっていたので、覚悟して『次はあなたね。私は◯話に捨てるみたいね』なんて言いながら、みんなでおもしろおかしく撮影していましたね。みんなすごく仲よしだし、本当に楽しかった!」
同作では主題歌「チェック・ポイント」で歌手デビューし、スマッシュヒットを記録。そのインパクトあるイントロは、今でも多くの視聴者の記憶に残っている。そしてセカンドシングル「初恋進化論」は、
〈今はキスでもアソコ アソコ アソコ 分かるでしょう〉
という歌詞が波紋を呼び、さらなるインパクトを植えつけた。
「私自身は、歌詞の中のひとつのフレーズとして意味を考えずに歌っていましたが、イベントの質問コーナーではよく『アソコってどこですか?』と聞かれましたね。私の答えは『自分の中のアソコじゃないかな? ご想像にお任せします』。作詞をした阿木燿子さんも、あえて意味深な、考える余地を与えるような歌詞にしたんだと思います」
歌も演技も一筋縄ではいかない、どこかミステリアスな印象を含んだ彼女の存在感は、芸能生活5年で潔く引退したことで、確固たるものとなった。
「父が病気をして心配だったので、20歳で北九州市の実家に帰り、家業の明太子屋を手伝っていました。今は下の子が中学に進学して育児からだいぶ手が離れたのを機に、昨年5月にイタリアンレストラン『Ichico Jam』をオープン。パスタやワインが好きで、ずっとやってみたいと思っていて、勉強したんです。もともと料理は好きなので、毎日店に立っていますよ。遠方からもファンの方に来ていただいていて、とてもありがたいです」
自分の店を「すごく気に入っている。大切な場所」と語る彼女からは、アイドル時代同様の充実ぶりが伝わってくるようだった。