人気長寿番組「笑点」(日本テレビ系)の司会・桂歌丸師匠(79)が番組を卒業することを発表した。後任司会候補も気になるが、焦点は大喜利新メンバーだ。
4月30日に、5月22日放送で「笑点」を引退することを発表した歌丸師匠。翌週の放送では、平均で20%を超える高視聴率を叩き出し、衝撃は数字となって表れた。後任司会の筆頭候補として報じられているのは、現大喜利メンバーの三遊亭円楽師匠(66)だ。そこで気になるのは、新メンバーは誰か? というところだが、ある落語関係者が語る。
「昨年6月に歌丸さんが腸閉塞で入院し番組を休養して以降、オファーを出された噺家がいると寄席の世界ではもっぱらの噂でした」
その噺家とは林家正蔵師匠(53)、柳家花緑師匠(44)、立川談春師匠(49)の3人である。笑点メンバーになり知名度を上げることは、一門そのものの勢いにつながるほど。しかし、歌丸師匠入院時、円楽師匠を直撃取材したところ、「これだけは書いてほしい」と言ったのが次のことである。
「『笑点』をきっかけにただ売れて金儲けをする連中は相手にしない。私たちはタレントではなく、落語家という自負があるんです」
オファーに対してあがった3人の師匠はいずれも、
「自分の芸を磨きたい」
と断ったようで、円楽師匠の心意気を体現した。ありがたい話の返礼として代案を出したようである。
「それぞれ林家三平さん(45)、柳家喬太郎さん(52)、立川談笑さん(50)と同門を推したという話です」(前出・落語関係者)
立川志の輔師匠(62)という超大物の名前も報じられた選考では、ベテランから期待の若手に至るまで、30人を超える候補者がひしめいているという。考えられるのは師匠から弟子・同門へ、というレギュラー譲渡。林家こん平(73)・たい平(51)両師匠という前例もあることに加えて、落語界独特の“体制”から考えても合理的なのだという。背景にあるのは東京の落語界で1978年に起きた“協会分裂騒動”だ。
「以後、噺家の所属団体は4つ存在します。『大喜利』には、落語芸術協会、落語協会、円楽一門会から落語家が参加をしています。歌丸師匠は落語芸術協会の会長で、卒業すれば同じ芸術協会の落語家から新メンバーが選ばれるのが自然な流れだと思います」(ベテラン芸能記者)
そこで本命候補とされているのは、桂竹丸師匠(59)。現メンバーの春風亭昇太師匠(56)と同世代で、人気・実力ともに申し分ない。
「他に考えられるのは直弟子。桂歌若さん(48)、歌蔵さん(51)と、歌丸さんのかばん持ちを務める枝太郎さん(38)も有力。『笑点』でアシスタントとして座布団運びや前説を担当し、スタッフとも昵懇の仲です」(前出・ベテラン芸能記者)
演芸評論家の高山和久氏が“同門路線”での意外な候補としてあげたのは、桂宮治(39)だ。
「2012年のNHK新人演芸大賞を獲った、芸術協会イチオシの若手です。まだ真打ではなく、一般的な知名度もそこまで高くないが、二つ目としては抜きん出た実力の持ち主です」
歌丸・林家木久扇(78)両師匠も、「笑点」デビュー当時は二つ目だった。それを考えると、十分可能性はあると高山氏は解説する。その歌丸師匠は分裂の過去など無関係に「誰でも」というスタンス。そこで飛び出す最大級のサプライズが、現メンバーの“親子鷹プラン”だ。木久扇師匠みずから、
「息子はどうだい?」
と冗談交じりに持ちかけたという話もあるほどだが、高山氏が続ける。
「木久扇さんの木久蔵さん(40)と三遊亭好楽さん(69)の王楽さん(38)という、息子2人がダブル抜擢されたら大きな話題になる。番組だけでなく、落語界全体の活性化につながるのではないでしょうか」
候補者が多すぎて、制作サイドも選ぶに選べずうれしい悲鳴を上げているほど。放送開始から50周年の節目を迎えた国民的番組にとって、視聴者から座布団をもらえる最も“うまい答え”とは──。