反省の弁を述べる裏で、喜々として賭博に精を出していた──。警察の威信をかけた逮捕だったのは想像にかたくない。この結果に安堵しているのが巨人だ。
「斉藤が持っていたとされる主力投手のバカラ賭博の『証拠』にも、逮捕によってメディアが接触できなくなった。球団内からは『犯罪者の話をネタ元にして報じることはないだろう』という声も出ている」(球界関係者)
一方、フロントは現場の選手に対し、一連の騒動へのコメントを求められたら「特にありません」と答えるように指示を出し、今回の逮捕を機に騒動を収束させようとしている。が、選手間には不安が広がっている。特に斉藤容疑者の飲食店に、グループで頻繁に訪れていた一部中継ぎ投手らには浮き足立ったムードもあるという。実際、捜査の手が及ぶ可能性もある。
「捜査当局にここで終わらせる気はありません。すでに、解析した携帯電話の発着信履歴から野球賭博関係者を洗いだしているんです。例えば18時開始のナイトゲームの場合、スタメンが発表される17時30分前後に大半の胴元は賭けを締め切る。中継にも、その時間帯に客からの連絡がたくさん来ますからね。ゴールデンウイーク中には携帯の発着信履歴をもとに胴元や中継、賭博関係者と思われる人物への任意同行を求めています。その裏付けとなっているのが、斉藤の銀行通帳への出入金記録です」(捜査関係者)
昨年からの騒動以降、「笠原も斉藤も携帯を壊した」(賭博仲間)というから、証拠隠滅を図ったのだろう。
「いや、たとえハンマーで破壊しても、警察は携帯の解析なんてできる。一度誰かが捕まれば証拠の宝庫です。さらに警察は銀行やコンビニの防犯カメラ映像も集めています。賭博常習者は足がつくことを恐れて、口座は使いませんし、携帯も自分名義ではないプリペイドやレンタル携帯を使う。それでも、利用代金の支払いはどうしても銀行窓口やATM、コンビニを使うしかないですからね」(前出・捜査関係者)
もはや、警察の手の内にある笠原容疑者と斉藤容疑者の供述しだいで芋づる式の逮捕も待ったなしとなっている。
暴力団関係者は言う。
「暴力団担当の組織犯罪対策四課が動いている時点で、2人の逮捕で終わるわけがない。オレらは何度も逮捕されてるから慣れっこだけど、斉藤も笠原も初めてだし、サツも相当の覚悟をもって取り調べるよ。それに2人が耐えられるかどうかだわな」
中でも鍵を握るのが、笠原容疑者を犯罪の道へと引きずり込んだ、斉藤容疑者である。
「サツからの選択肢は2つ。1つ目は中継をしていたことを含め、警察の主張を全て認めて莫大な追徴金を払うこと。だけど、斉藤にそんな金はないよ。そこで、『他の人間の情報を洗いざらい話せ』って突きつけられる。ヤクザをパクるきっかけが欲しいサツからしたら、うたって(自供して)くれれば出所後の身の安全は保障するだろう。それを斉藤もわかっているから、しゃべる可能性は高いぞ。そうなると、この騒動には、想像もつかない終着地点が待っているかもしれないな」(ヤクザ幹部)
もはや「球界にとって平穏無事な未来」に賭けることは、大バクチとなる情勢に傾きつつあるのだ。