今週は3歳馬のダート重賞「ユニコーンS」が東京で行われる。過去の傾向は堅めだが、ここ2年は馬単で万馬券決着。今年も波乱の可能性十分だ。一方、夏競馬の開幕を告げる「函館SS」は、オメガヴェンデッタに注目!
今週のメインは、ユニコーンS。3歳馬によるダートの重賞だ。ほぼ毎年フルゲート(16頭)で争われてきたが、今年もエントリーは多く、フルゲートになること必至だ。
タイキシャトル、ウイングアロー、アグネスデジタル、そしてカネヒキリ。ここを勝ってスターダムに躍り出た馬は少なくない。
が、将来、ダート界を背負って立つまでに出世する馬は案外少ない。3歳馬にとっては8月に行われるレパードSのほうが顔を売り出すチャンスで、ここを踏み台としてGIチャンピオンズC(旧・JCダート)で勝ち負けする馬もいる。
よってユニコーンSは、GI、およびそれに向けての大きな重賞のステップレースにはなっていない。いわば孤立した重賞で、せいぜい主にダート路線を歩んできた3歳馬の総決算という位置づけだろう。
では、今回の顔ぶれを見てみよう。ジャパンダートダービーにホコ先を向けたケイティブレイブがここを回避したのは残念だが、兵庫CSでこの馬の2着だったゴールドドリーム、伏竜S勝ちのストロングバローズ、青竜S勝ちのグレンツェント、そしてダノンフェイスのわずか4頭が出走権を得ているにすぎず、あとは900万条件馬で枠順決定前の抽選が待っている。
その900万組では青竜Sでグレンツェントと接戦を演じたアルーアキャロル、前走好タイムで勝ったクインズサターン、ノーブルサンズ、マインシャッツなどが人気を分け合うのだろうか。いずれにしても“絶対視”できる馬は見当たらない。
ここでデータをひもといてみよう。馬単が導入されて以降の過去13年間、その馬単で万馬券になったのは3回(馬連は0回)。これまでの20回で1番人気馬は8勝(2着4回)。2番人気馬は1勝(2着9回)。こうして見てみると、比較的人気サイドで決まるレースと言ってよさそうだ。
ただし今回は、前述したように図抜けた存在がいない。混戦と見られている以上、一昨年、昨年に続いて馬単で万馬券が飛び出す可能性も十分。一筋縄とはいきそうにない。穴党としては、やはり人気薄に目をつけてみたい。
最も期待を寄せたいのは、ヤマイチジャスティだ。抽選対象だが、どうしても出走させたい高い能力の持ち主なのだ。
スタート難があって未勝利を勝ち上がるまで5戦を要したが、この馬の強烈な末脚は特筆モノ。前走の500万平場では、初めてスムーズにスタート。それだけに追走も楽で、直線追い出したら見る間に他馬を突き放して2着馬に5馬身もの差をつける完勝だった。
「(前走は)乗り役がクセを飲み込み、ハミをかまさず上手にスタートを切ってくれた。馬自身も腰がパンとして、ここにきて力をつけてきたのも確か」
高市調教師は、こう振り返り、手綱を取った丸山騎手も「まだ余裕たっぷりだった。追っていればまだ時計は詰められた」と言っていたが、これも十分にうなずけることだ。成長急が確かであれば狙わない手はない。
むろんのこと状態もグンと良化している。今回は短期放牧明け3戦目。高市師は「デビュー以来、最高の状態で臨めそう」と期待感たっぷりに話していたが、あか抜けた好馬体、血統(特に母系)からも大いにチャンスがあっていい。
父エンパイアメーカーはGIベルモントS(12ハロン)の覇者で、母系そのものもスタミナ色が濃い。ヤマイチジャスティは、マイル戦での実績はないが、距離延長は歓迎。晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。