今週は東京で3歳のダート重賞「ユニコーンS」が行われる。過去19回の歴史の中で9番人気以下が馬券に絡んだのは1頭のみ。無謀な穴狙いは禁物だ。一方、函館の「函館スプリントS」は、開幕週とあって先行馬に注目!
ユニコーンSが今週のメイン。3歳馬によるダートのマイル戦だ。ここで勝ち負けしてダート界のスターになる馬はいるが、夏のレパードS(新潟)に比べると多くはない。
つまりこの時期はまだ、能力はあっても、その素質を開花できずに条件クラスに埋もれている馬が、かなりいるということだ。今後のダートの主要レースに関連づけられる重賞ではなく、独立した一戦と捉えるべきだろう。
それでも、年明けからこれまでの間、中央では3歳馬限定のダート重賞はこれだけで、各馬満を持しての挑戦。フルゲート必至で熱のこもった迫力ある競馬になること請け合いだ。
今回は顔ぶれも悪くない。UAEダービーに挑んだゴールデンバローズは、正真正銘、将来を担うスター候補と言っていいだろう。しかし、遠征によるダメージは少なからずあったようで、いきなり能力全開といくかは微妙なところだ。
これに続く有力、人気どころは、アキトクレッセント、アルタイル、ノンコノユメ、さらにはダイワインパルス、タップザット、ダノングッド、ノボバカラなどだろうか。いずれにせよ各馬の力量に大きな開きがあるとは思いがたい。
データをひもといてみると、意外に本命サイドで堅く収まっていることがわかる。馬単導入後の過去12年で、万馬券になったのはわずか2回(馬連は0回)。 1番人気馬は7勝、2着2回。2番人気馬は勝っていないが、2着は5回ある。
つまり、無謀な穴狙いはやめるべきということだろう。が、最有力候補のゴールデンバローズに全幅の信頼が置けないのであれば、ひと波乱あってもおかしくはない。
当方としても帰国後の立て直しに時間を要しただけに、バローズに不安ありとにらんだ。
では前述した他の有力どころということになるが、名をあげなかった中にも、注目すべき逸材は少なくない。ラインルーフはそんな1頭。穴党としては、こいつに期待を寄せてみたい。
昇級初戦の前走を振り返ってみようか。好位につけてスムーズな走りに見えたが、ソラを使う(気を抜く)場面もあって、いったん後退。それでも、盛り返して2着を確保した。しかし、手綱を取った武幸騎手によると「道中ハミを取らず苦労した」とのこと。それでも勝ち馬とコンマ1秒差の勝負を演じたことを、高く評価したい。
実は、当日の体重は前走比12キロ増。これは元の体重に戻ったものだが、パドックでは、これまでと違って余裕残しの体つき。落ち着きを欠いていたことを思うと、前々走を休み明けで勝った、その反動がモロに出た格好ではなかったろうか。それでも勝ち負けに持ち込むのだから、素質の高さがうかがい知れるというものだ。
この中間は、落ち着き払って好配。稽古の動きも素軽く、状態は大幅に良化している印象だ。1週前の追い切りもリズムに乗っていた。ならばチャンスがあっていい。
バランスの取れた好馬体と血統(母系)は魅力たっぷり。その血統だが、トライマイベスト(GIデューハーストS勝ち、全欧3歳牡馬チャンプ)、エルグラセニョール(英2000ギニー、愛ダービーなどGI3勝)ほか近親、一族に活躍馬が多くいる良血。良馬場を条件に大きく狙ってみたい。
穴中の穴は、クワドループル。テンにズブい面があるが、強烈な末脚が武器の馬。直線の長い東京はもってこいだ。母系は欧州の一流血脈。“一発”があっていい。
◆アサヒ芸能6/16発売(6/25号)より