スポーツ

モハメド・アリ 日本にと轟いた「ザ・グレーテスト」秘話!(1)不可能を可能にした世紀の一戦

20160623s

 モハメド・アリVSアントニオ猪木の「格闘技世界一決定戦」から40年──。試合が行われた6月26日は「世界格闘技の日」となったが、今月3日、その日を待たずしてモハメド・アリが息を引き取った。享年74歳。世紀の一戦を仕切った当時の新日本プロレス専務・新間寿氏、副社長・坂口征二氏が、「ザ・グレーテスト」の在りし日をしのび、秘話を語り尽くした。

「今だから言えるが、猪木も私も、もしアリにケガでもさせてボクシングができなくなったら、背後に控えるアリ軍団に殺されると思っていました。いや、これはオーバーな話ではありません。それくらい彼らには不気味な迫力があったんですよ。一方でアリ自身も、はたして猪木はルールを守ってくれるか、気が気でなかったようです。事実、猪木が約束を守ると、アリは『彼をリスペクトする!』と最大級の賛辞を贈ったほどなんですよ」

 こう語るのは、世紀の一戦実現に向けて奔走した仕掛け人・新日本プロレス元専務の新間寿氏だ。

 アリは立ったまま、猪木は寝たままの状態で、試合が進行し、結果は引き分け。そのせいか、当初は「世紀の凡戦」と揶揄されたが、最近では試合が再評価され、試合が行われた日が「世界格闘技の日」と認められるようになったほどだ。

「でも、私から言わせれば、ふざけんじゃないということになる。『アントニオ猪木・世界格闘技の日』とするのなら、わかりますよ。誰もやらないことを男の夢として実現していこうってことでやったんだ。アントニオ猪木の文字が入って当然でしょ。実際、ものすごく大変でね。あの時も試合の3日前、アリ軍団が深夜、ホテルの私の部屋に押しかけてきて、アリがサインしたファイトマネーは勝ったほうが総取りとする同意書を返せと言う。中には壁にもたれてナイフを研ぐのもいた。もう、生きた心地がしませんでしたよ」(新間氏)

 当時、副社長だった坂口征二氏(現相談役)は言う。

「相手はボクシングヘビー級の現役チャンピオンでしょ。当初、世間はプロレスラーが対戦なんてできっこないと見ていた。猪木さんと新間は不可能を可能ならしめる最強コンビでした」

 そもそも世紀の対決が実現したのは、アリが日本レスリング協会の八田一朗氏に、

「誰か東洋人で俺に挑戦するやつはいないか」

 と話したことがきっかけとされる。

「75年6月、マレーシアで防衛戦を行ったアリはトランジットで東京に立ち寄り、記者会見を開いた。猪木は相手をお探しなら、応じますよと挑戦状を突きつけたんですよ。それに日本中のメディアが一斉に飛びついた」(新間氏)

 何しろ、ファイトマネーはアリが600万ドル(約18億円)、猪木が6億円だったというから桁外れだ。

 調印式で猪木の挑発に乗ったアリが「勝利したほうが総取り」という同意書にサインしたものの、前述したようにその日の深夜、アリ軍団が新間氏の部屋に取り返しに来たというのも金額を考えればうなずける。

「いや、それだけではありませんよ。アリサイドはそれから次々とルール変更をして、それをこちらに飲ませた。そして、片手か片膝をリングについての攻撃しか認めないという、無理なルールになったわけですよ」(新間氏)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
巨人・坂本勇人「2億4000万円申告漏れ」発覚で「もう代役・中山礼都の成長に期待するしかない」
3
フジテレビ第三者委員会の「ヒアリングを拒否」した「中居正広と懇意のタレントU氏」の素性
4
巨人「甲斐拓也にあって大城卓三にないもの」高木豊がズバリ指摘した「投手へのリアクション」
5
3連覇どころかまさかのJ2転落が!ヴィッセル神戸の「目玉補強失敗」悲しい舞台裏