歌手で女優のあべ静江(64)は84年12月の「猫殺し会見」で大きなインパクトを残した。ある週刊誌の記者が、
「飼っている猫を壁にぶつけて殺したという話を聞いたのですが‥‥」
と、「猫殺し」の質問をぶつけたところ、あべは激怒。
「あなた、どういうつもりでおっしゃってるんですか? お名刺をください。いや、『あとで』じゃなくて、今ください」
質問した記者に詰め寄るあべ。彼女の怒りは一向に静まらない。
「何で私が猫を壁にぶつけるんですか! そんな失礼な質問はないでしょう」
この予想外の反撃に、当の記者はタジタジとなった。
「そういう怪しげな噂があったのは事実です。しかしいつもはおしとやかなあべさんがあそこまで逆上するとは思いませんでした。私は彼女のことを信じていますが、ああいう反応を示したことで、周囲の疑惑は逆に深まってしまった気がします。当時の彼女は受け流すということができなかったんですね」(前田忠明氏)
続いてお届けする会見の主役は、天才漫才師と言われた故・横山やすし(享年51)。その人生はトラブル続きだったが、息子の木村一八(46)も父親に劣らぬトラブルメーカーだった。88年には、タクシー運転手に対する傷害で逮捕された。
「原因は乗車拒否。しかし、暴行されたのは拒否した運転手ではなく、そのあとに拾ったタクシー運転手だった。つまり八つ当たりだったのです」(芸能記者)
暴行を受けた運転手は頭蓋骨骨折・脳挫傷など命に関わる重傷を負った。やすしは当初、事件の内容をまったく把握していなかった。女性レポーターの直撃に、当初は、
「男はケンカするくらいがちょうどええ!」
と、トンチンカンな「教育論」をぶちまけたほどだが、あらためて事態を把握すると会見で深く陳謝。被害者男性の家族に土下座して謝罪したことを明かした。
「いくらカワイイ息子がやったこととはいえ、人を生きるか死ぬかの目にあわしてしまって、ホンマにすんまへんでした」
涙ながらに、こう訴えたやすし。号泣する姿に、「感動の親子愛」とテロップをつけて放送するワイドショーもあった。
「会見でやすしさんが見せたのは本物の涙です。常に本音で生き続けたやすしさんの人生を物語るような会見でした」
こう振り返る前田氏が、やすしと同様に死を悼んだのがフリーアナウンサーの故・逸見政孝(享年48)。93年9月6日に開かれた会見では開口一番、次のように語った。
「前回の手術の時は、せん孔性十二指腸潰瘍とウソの病名を言いました。申し訳ありません。今回は直接皆様に報告したいと思います。私の病名はガンです」
突然の「ガン告白」に報道陣は息を呑んだ。
「公表について、奥さんは反対していましたが、それを押し切って残り少ない命の灯をさらけ出した。その勇気は本当に立派でした」(前出・前田氏)