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来日50周年で関係者が明かす「ビートルズ」武道館ライブ熱狂の舞台裏(1)前座は前座のみの集団行動

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 その日、耳をつんざく歓声とともに、日本の音楽史が大きく変わった──。66年6月30日より3日間にわたって開催された「ザ・ビートルズ」の日本武道館公演のことである。あれから半世紀を迎え、衝撃は今なお消えない。日本人側として共演した2人が“俺だけが知る秘話”を初めて語った。

「ビートルズが羽田空港に降り立って、そこから東京ヒルトンホテルまで高速道路で移動。その間、一切の車を入れないで道を封鎖したというんだから、エリザベス女王並みの国賓待遇だったね」

 歌手の尾藤イサオ(72)は、今から50年前の驚きを昨日のことのように思い出す。62年にデビューしたザ・ビートルズは、瞬く間に世界中の若者の心をつかみ、チャートの上位を独占する。

 そして66年、ついに来日公演が決まり、会場は日本武道館と発表。武道の聖地で初めて開くロックコンサートということもあり、その警備は今では考えられないほど厳重だった。警官と機動隊員合わせて1700人、装甲車40台、ジープとパトカーを70台導入して武道館を取り囲んだ。

 尾藤は、内田裕也、ザ・ドリフターズ、ジャッキー吉川とブルー・コメッツらと「前座」を担当するメンバーに選ばれた。

「実は彼らがデビューした時、あのマッシュルームカットも曲調も甘ったるく思えて、あんまり好きじゃなかったんだ。俺は“和製エルビス・プレスリー”と呼ばれてリーゼントにしていたから、彼らはひ弱な感じに見えた」

 ビートルズの来日まで、日本の音楽シーンは「ロカビリー」が全盛を誇っていた。尾藤もその中心的な存在だったが、この年を境に勢力図が一変。ソロ歌手よりも、ビートルズに憧れたバンドが続々と誕生し、それは「グループサウンズ(GS)」というブームにつながる。

 ブルー・コメッツの若きギタリストだった三原綱木(70)は、レコード大賞に輝いた「ブルー・シャトウ」などでGSブームを牽引した1人だ。

「ブルコメとザ・スパイダースが先にデビューしていて、その頃はGSなんて言葉はなく、ビートルズの来日以降にバンドが次々とデビューしてから、そう呼ばれるようになったね」

 三原らブルコメは、尾藤のバックバンドとして武道館の前座を務める。あのビートルズの前座を務めるということに、三原は身震いがする思いだった。

「彼らと一緒にステージに上がるわけではなく、前座は前座のみの集団行動。ステージに出る時も、全ての前座が終わって楽屋に戻る時も、ビートルズの影さえも見えなかった。それでも、同じ場所にいられることはうれしかったね」

 三原は、1度もビートルズの演奏を聴くことはなかった。現在と違って楽屋にモニターもなく、前座終了後にステージに近づくことは厳禁。それでも、1カ所だけわずかな“抜け道”があったという。

「武道館のトイレの上にある小さなスピーカーから、彼らの演奏がかすかに聴こえてきたんだよ。テープレコーダーを近づけて、その音を録音したことを覚えているね」

 尾藤も出番を終えて楽屋に戻ったが、そこで異様な気配を感じた。

「楽屋に音は聴こえてこないけど、それでも、1万人の大観衆で会場が揺れていることはわかったよ」

 全てが日本で初めて味わうことだった。

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