11年に監督を勇退した落合GMのあとを受けたのは、高木守道氏だった。
「球団の赤字体質は、中日に関わるあらゆる人が認めるところです。地元では絶大な人気を誇る高木さんでしたが、チームは低迷。さらに観客動員も下げ止まりませんでした」(球団関係者)
そして13年8月5日、ある大事が起こる。白井オーナーの妻・康子さんが84歳で亡くなったのだ。独り身になったオーナーに接近したのが、落合信子夫人(71)だった。信子夫人は、次期監督選びに悩む白井オーナーの世話をしながら、
「他の人が監督だったらもっとお金がかかります。うちの父ちゃんだったら、お金を使わない」
と持ちかけたという。白井オーナーは、「監督は無理」と断るが、落合氏からも、
「GMという方法もありますよ。GMで恩返ししたい。私がなれば優勝できる。今の選手は優勝もしていないのに年俸が高すぎる」
と連絡があり、同年10月、球団初の「GM」に落合氏が就任することとなった。こうして年俸8億円カットが実行され、その“功績”から白井オーナーは、落合GMを中日新聞取締役に就任させ、球団社長就任を考えたほどだ。だが、抜本的な問題解決とはいかなかった。NPB発表によれば、12年セ・リーグ2位だったホームゲーム入場者数は、13年4位、14年4位、15年5位となり、16年交流戦終了時点で5位と、成績同様に浮上のきっかけさえつかめていない。加えて、中日新聞の体力が弱体化している。
「愛知、岐阜、三重では圧倒的なシェアを誇ります。部数を水増しする『押し紙』をやめたことで激減したように見えますが、下がり幅は緩やかです。しかし経費など出費の部分はかなり締めつけています。白井会長がすでに減っている取材経費を『まだ多すぎる!』と叱責したようですから、苦しいことは事実」(中日新聞関係者)
こうして冒頭の「落合切り」へとつながっていくのだが、そんな中、驚くべき人物の招へい計画が始動しているという。白羽の矢が立ったのは楽天球団副会長の星野仙一氏(69)。前出・球団関係者が明かす。
「星野さんなら球界の人脈もあるし、客を呼べる。以前は反星野派、親星野派で割れていましたが、今はそうした派閥もなく障害はないのです」
昨年、中日の地元テレビ番組に出演した星野氏は、
「落合を(中日に)呼んだのは俺だ。俺がいちばん悪い」
と発言。これを中日サイドは、星野氏からの脈ありの「サイン」と読んだという。今オフ、選手ではなく球団首脳部の仰天移籍が起こるかもしれない。