一方、この醜聞に追い風を得たのが、不利は承知で先んじて立候補を表明した元防衛相・小池百合子氏(64)である。
頻繁に更新する自身のツイッターで〈ぜひ会場に緑色のものを一点身に着けてご参加ください!〉と呼びかけた成果か、遊説先ではシャツ、スカーフ、帽子など百合子グリーンをまとった支援者が集まっている。中にはブロッコリー、ほうれんそうなど野菜を代用する主婦まで現れた。
20日、JR五反田駅前で行った演説では、「ゆりちゃーん!」「大好き!」などと声援を受けると、
「“全ゆり連”ができたと聞いております」
と、満面の笑みを浮かべるほどだ。
かつて、建築家の故・黒川紀章氏が07年の都知事選で使用したようなガラス張りの選挙カーの上から、
「どのみち崖から飛び降りてます。失うものもございません。自民党の組織票に立ち向かってます」
と、推薦を得られなかった自民党に対し、全面対決で戦っていることを強く訴えるのだった。
目下、“百合子の乱”は奏功し、各社の世論調査では、小池氏が一歩リード中だ。
「党内根回しを行わず出し抜きで立候補を表明した小池氏に自民都連が激怒。党所属議員に『小池氏を本人や親族が応援したら除名処分する』とも取れる内容の文書を配布して締めつけを行ったが、反対に小池氏が孤立無援さを強調し、世間の判官びいきをあおる逆効果となってしまった。今のところ表立って応援しているのは、若狭勝衆議院議員だけですが、一部自民党議員は小池氏がもしも勝った場合を見越し、秘書や後援者を応援に送り込んでいる。もちろん自民党本部も両にらみです。いまだに小池氏を除名処分にしていないのは、最終的に知事与党の座を死守するためでもあるんです」(政治部デスク)
はたして、このまま小池氏が逃げ切るのか。政治部記者が戦況を説明する。
「小池氏は地元の豊島区、防衛相を務めた関係で自衛隊駐屯地がある練馬区では区長、区議からの支援を取り付けた。しかし、その他の地域全てで自公の地盤は固い。全て百合子グリーンにひっくり返すのは至難の業です。実際、後援者には『除名されてもちゃんと受け皿はあります。知事選に落ちたら、若狭さんと一緒に新党を結成します』と説明している。支援に駆けつけた区議らは『東京で負ければ、再び国政に出直すのか』とあきれたそうです」
日本新党の細川護煕氏、新進党の小沢一郎氏、自民党では小泉純一郎氏と権力密着で生き残った小池氏は、結果しだいで百合子新党を旗揚げすることになるようだ。