仮に、Kが「相談を受けた」と主張する元組長・X氏との関係が事実であれば、“義侠心に駆られただけだ”と、苦しいながらも言い訳はできよう。しかし、渦中のX氏を直撃すると、
「脅迫電話をした人物なんてまったく知らない!」
と、憤りを隠さず続けた。
「私の名前を使って物ごいのようなことをしているヤツがいても、自分は何も関係ない。その証拠に、通知書を受け取って以降、警察やジャイアンツから連絡が来たこともありません。もう、そっとしておいてもらえませんかね」
Kとは一切の接点がなかったというのだ。
記者は熱海にKを訪ねたが、自宅とされている住所にKは不在だった。階下の住人によれば、まさに前回の報道があった4年ほど前に引っ越したという。その住人にKへ連絡を取ってもらったところ、
「Kが『記者を追い返せ!』と言っている」
という通告が返ってきた。
Kが経営するという旅館にも向かったが、すでにKは経営から退いているとのことで、現在の経営者は、
「5年半ほど前から自分が経営を引き継いでいる。その後もKとつきあいはあるが、連絡先を私が申し上げることはできない」
と、にべもなかった。
1度目の恐喝が発覚する以前にKと交流していた人物が証言する。
「原氏の事件発覚後、携帯電話の番号が変わり、限られた人間しか連絡を取れなくなったんです」
旅館経営から退き、住居を移し、携帯も替えて‥‥。逃げるように表舞台から姿を消したように見えるが、Kは今、窮地に立っている。2度目の恐喝は、無傷で済みそうにないからだ。
一連の騒動について、巨人に質問状を送ると、「読売巨人軍広報部」名義で以下のような回答があった。
〈当球団が警視庁に相談している案件のため、回答は差し控えます〉
同様にNPBにも質問状を送ると、
〈暴力団排除活動は、従来より、日本野球機構・12球団・選手会が一致結束して取り組みを推進しております。今回お問い合わせいただきました内容については、具体的な回答を差し控えさせていただきます〉
との回答だった。
球界では、選手のマネージメント会社が暴力団のフロント企業だったり、女性をあてがうことで、その暴力団がつながりを持ったりと、グレーな噂があとを絶たない。しかし、ここにきてやっと球界はそんな根深い問題に重い腰を上げ、暴力団交遊の根絶に取り組み始めているのだ。
「警視庁も暴排機運を高めるためにも、捜査に乗り気で事実確認を進めています」(社会部記者)
「1億円恐喝男」の、年貢の納め時は近い。