12年6月、球界を激震させる事件が「週刊文春」の報道で発覚。当時の巨人・原辰徳監督(58)が、06年に女性スキャンダルをもとに暴力団関係者から恐喝を受け、1億円を支払っていた事実が明るみに出た。法外な金銭を受け取った相手こそ、このKだったのである。
原氏が恐喝された“ネタ”は、不倫醜聞だった。
88年頃、20代後半の女性と、選手時代のすでに既婚者だった原氏が深い仲になった。交際が深まるにつれて、女性が傷つく“トラブル”が発生し、問題解決の費用を原氏が用立てたともされている。
結局、交際は長く続かなかった。別れを境に女性は身を持ち崩し、失踪してしまうが、その様子が克明につづられた、女性の日記が存在していたのだ。そして、その“物証”が暴力団関係者の手に渡ってしまい、Kのもとにたどりついた。
Kは原氏に、
「表に出ないように私が解決するので、私に任せなさい。それには金がいる」
と迫り、1億円の“口止め料”を強奪したというのだ。
当時、Kはすでに“本職”ではなかったが、Kを知る元暴力団関係者が語る。
「Kはその昔、T会っていう東京の組織に所属していた。かつては新宿・歌舞伎町で無許可営業のパブを経営していてよ、80年代後半には昏睡強盗とぼったくりを繰り返して逮捕されたな。5年ぐらいの実刑判決も受けてるよ」
そうした過去は封印され、05年頃から、熱海市で旅館の経営を開始した。
「ピンクコンパニオンの接待をメインにした、人気の旅館だよ。『温泉モノAV』なんかの撮影場所としても頻繁に使用されていたって聞くわな」(前出・元暴力団関係者)
ところで、Kが球界で恐喝行為を繰り返すのには、理由があった。Kの息子が元プロ野球選手で、Kには球界に太いパイプがあったのだ。Kの旅館を訪れたこともある球界関係者が黒い交遊録を明かす。
「『中畑(清氏・62)と野村(克也)監督(81)がよく泊まりに来るんだよ』と話していましたね。息子さんはプロ入り後、ノムさんに目をかけられていたようですし、特に中畑さんは息子さんと同じ駒澤大学出身で、以前から通じていた。話しているとKさんは気さくで、『息子の大学時代の仲間を、全員ソープに連れて行ってやった』なんて笑ったりするんですが、よく見ると左手の小指が欠損していて怖かった」
こうした球界人脈が下支えとなり、06年の1度目の恐喝の際に、くしくも原氏とKを仲介したのが中畑氏だったと報道されている。当時のKを知る歌舞伎町関係者が明かす。
「その06年頃だったと思うけど、Kさんの羽振りがすごくよかった。新宿でオンナを連れてゲイバーなんかを飲み歩いていたな。本人は『カジノで金儲けした』って言ってたけど‥‥」
今回、再び球界にカネの匂いを嗅ぎつけ、甘い汁を吸おうと巨人を暗に脅したのだろう。