10月1日に最終回を迎える連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK)に、オスカー期待の若手女優、吉本実憂が出演している。吉本は9月22日の放送回から、ヒロインの姪という役で出演。全156話が放送されるなかでわずか9話のみの出演だが、その様子が前作「あさが来た」の大島優子に重なるとして、視聴者からは「またゴリ押しか!」と不満の声があがっているようだ。テレビ誌のライターが説明する。
「大島優子が平塚らいてう役で『あさが来た』に出演した時は『蛇足』だとか『せっかくの物語が台無し』という批判にさらされました。大島が演じた平塚は実在の人物とはいえ、物語を展開するうえでは決して必須のキャラクターではなく、AKB48の大ファンとされる製作スタッフがねじ込んだとの批判まで出る始末。その記憶が薄れないうちに、同じように物語の終盤で若手女優を登場させたのですから、朝ドラを都合よく使うなとの批判が集まっているのです」
たしかに吉本の出演がいささか唐突に感じられるのは無理もない。ただ、「とと姉ちゃん」のモチーフとなっている雑誌「暮らしの手帖」について知る編集者は、吉本の登場は物語の進行上、意味があると指摘する。
「彼女が演じる人物は現在、暮らしの手帖社の取締役を務めており、その夫は現社長。つまりヒロインである創業者の正当な後継者であり、物語の終盤に登場するのはむしろ当然だと言えるでしょう。その意味で必然性の薄かった大島とは異なりますし、ゴリ押しと批判するのは酷ではないでしょうか」
オスカーの若手女優と言えばゴリ押し呼ばわりされがちだが、吉本はまだ19歳ながら、ここ2年ほどは脇役でドラマ経験を積んでおり、演技力も悪くないと評判だ。本人は将来の朝ドラ主演に意欲を見せるが、まずはお手並み拝見といったところだろうか。
(金田麻有)