政治と切っても切れないのが「カネ」の問題。いつの世もセンセイたちの金への執着はすさまじく、週刊アサヒ芸能創刊から常に世間を騒がせてきた。ここで一挙に総ざらいする!
芦田均前総理まで逮捕された1948年の昭和電工疑獄、検察がのちの総理、佐藤栄作自由党幹事長の逮捕許諾請求を行いながら、指揮権発動で空振りに終わった54年の造船疑獄など、戦後10年間は大規模な疑獄事件が起きた。
その後は鳴りを潜めるが、76年にロッキード事件が発覚する。当時、全盛を誇った田中角栄氏に「金権政治」の批判が向けられた。同年3月18日号では「暴かれた『重要人物』14人はどう出るか?」と題し、事件に関わる人物相関図を掲載して真正面から報道。一方、翌号では「四大余聞」とワイド特集を組み、丸紅の社員寮に住む家族の悲哀にまで迫った。
さらに、88年のリクルート事件、92年の佐川急便事件が発生。リクルート事件では当時の首相、竹下登氏の関与がささやかれ、秘書が自殺。翌年には辞任に追い込まれた。
佐川事件でも竹下氏はホメ殺しにあうなど混乱の中心人物となる。そして翌年には宮澤喜一内閣が倒れ、細川護熙内閣が発足。自民党は38年ぶりに野党に転落した。
角栄氏の金権政治を引き継いだかのような竹下氏。「経世会」を中心に、当時の成長企業から資金が渡っていた実態に、国民がさすがに嫌気をさしたのである。
政治評論家の有馬晴海氏はこう解説する。
「政治とカネと言う場合、カネはカタカナで表記され、いわく付きで意味深な表現として使われます。昔から権力者が公共事業などで税金をどう使うかを決めるわけですから、そこに口利きという形で利権が絡むのが当たり前だった。世の中に景気循環があるのと同じように、政治とカネの問題が起こるたびに、クリーンを売りにした政権が発足し、やがてまた問題が起こるというように循環しているのです」
だが、最近はかつてのような大規模な事件は起きていない。秘書給与や白紙領収書のごまかしなど、どうもスケールが小型化している。
「リクルート事件を機に選挙制度と政治資金制度の改革を一体として行う方向性が生まれました。その中で、斡旋利得や収賄につながる『入金』部分が制限されたので、『出金』の部分で政治家が悪知恵を働かせるようになったのです。小泉政権以来、一人のリーダーに政界が牛耳られる状況が続き、時の権力に逆らうことなく、じっと耐えて頑張っていれば誰にでもポストが回ってくるようになり、サラリーマン政治家が増えたことも一因かもしれません」(前出・有馬氏)
政治とカネの問題が小さくなればなるほど、永田町からリーダーにふさわしい政治家が減っていく。何とも悩ましい問題だ。