60年の歴史の中で、週刊アサヒ芸能に登場した総理大臣は8人。そのうち6人は総理就任以前に誌面を飾っている。もしかして、週刊アサヒ芸能が政治家のステータスを上げてしまったとか‥‥?
「(辞任の原因となったウイルス性腸炎は)回復し、ここ40年でいちばん元気なくらいです」
こう語っていたのは、現在の安倍晋三総理(62)だ。12年5月10日号から3号にわたって、作家の大下英治氏との一問一答が掲載された。戦後最年少首相として総理に就任するも、1年で辞任を余儀なくされてから約4年半というタイミングであった。
「今、自分がトップにとは考えていません」
当時、安倍総理はそう語っていたが、12年12月に第二次安倍政権が発足。原発再稼働、対北朝鮮政策、憲法改正など多岐にわたって話し、胸の奥ではなみなみならぬ意欲をみなぎらせていたことがうかがえる。
現在、副総理兼財務相である麻生太郎氏(76)も、総理就任1年前の07年8月23日号から、3号連続で登場している。「総理に一番近い男」として、政治観やみずから歩んだ人生までホンネが語られている。もちろん、大好きなマンガにも触れて、こう話していた。
「いい年したおっちゃんが何がマンガだと言われるわなあ。だが、高い思想を題材にしたものもあるし、何より世界に誇れる文化だ」
さらに、99年8月12日号には小泉純一郎氏が登場。名物連載「天才テリー伊藤対談『オフレコ厳禁』」で、テリー伊藤氏に総裁選の出馬意欲を問われ、小泉氏は「もうない」と明言。ところが、01年4月に総理就任。現在は急進的な反原発派に転じ、動向が注目される小泉氏だが、以前からその言動は予測不能だったということか。
週刊アサヒ芸能を飾ったのは自民党の総理だけではない。09年から3年間の民主党政権で誕生した3人の総理のうち2人が登場している。菅直人氏(70)は03年9月4日号のテリー対談で、
「小泉総理は口先だけ。手品のネタはバレてます」
と、時の権力者を批判したまではいいが、当時の民主党が訴えていた高速道路の無料化について「すぐできるんですよ」と明言。政治家が軽はずみな発言をするものではない。現在、すっかり影が薄くなったのも、うなずける話だ。
また、鳩山由紀夫氏(69)も政権奪取前夜の08年5月15日号のテリー対談に登場し、こう力説していた。
「政策の中でいちばん大事なのは愛」
“宇宙人”と呼ばれて久しいが、12年の政界引退以降も話題になるのは“宇宙人的外交”ばかり。今年7月、中国主導で日本は距離を置くアジアインフラ投資銀行(AIIB)顧問就任が報じられた。事務所によると、
「2つのシンクタンクのトップとして、祖父である鳩山一郎が掲げた友愛の精神にもとづいた活動を行っており、AIIBもその一環」
だとか‥‥。しかも友愛活動に身をささげるべく、「由紀夫」の名前を「友紀夫」に変えたという。
人生イロイロ、総理もイロイロなのである。