そうなると、フロントも金本監督の言うとおりにしておけば自分たちの責任ではなくなり、坂井オーナーに追及されることもない。
「実際、今回のドラフトも当日、坂井オーナーに『金本監督の要望で、大山を1位指名にしました』と報告して了承をもらっています。もちろんその背景に占い師のお告げがあるということは、坂井オーナーには秘密です。ドラフトの結果よりも、坂井オーナーをいかに納得させるかが大事なので、金本監督が主導権をとったのは、渡りに船だったのかもしれません」(球団関係者)
阪神らしいといえばまさにそうだが、金本の占いやお告げへの傾倒は、何も今回のドラフトに限ったことではない。監督の背番号としては異例の、現役時代と同じ「6」をつけた経緯も、そもそも監督を受諾した決断の段階からも、神頼み、お告げ頼みだったのだ。球界関係者は言う。
「監督就任の打診を一度は断り、交渉に時間がかかりましたよね。あれもお告げを聞いていたからだと言われています。極め付きは背番号。これも現役時代の6にすれば成功する、というお告げだったらしいんです。でも、周囲からあれこれと言われることを懸念して、渋る掛布雅之二軍監督にも一緒に、現役時代の背番号31を着てもらった。掛布二軍監督は当初、85に決めていたのに、金本監督1人では浮いてしまう、との理由で31になったのです」
さらにシーズン中も連敗が続くと、甲子園球場に岡山から来たという巫女の格好をした謎の中年女性にお祓いをしてもらったり、現役時代のオフに護摩行を行っていた鹿児島・最福寺の池口恵観法主も何度か甲子園のベンチ裏に招き、「気」を送ってもらうなどの儀式を行ってきた。
金本監督が大きな決断の前で必ず頼るほど心酔している人物は、阪神関係者の間では一様に「占い師」と呼ばれているが、
「風水師なのか占い師なのか祈祷師なのか、謎に包まれたまま。『お告げ』がプラスに運ぶようなら問題はないんでしょうが、来シーズンも今年のようにBクラスに低迷するようでは、監督としての求心力まで疑われることになりかねない。厳しい関西のメディアからは、いわくつきの1位指名となった大山と、ロッテにさらわれた佐々木が比較されるでしょう」(前出・球団関係者)
スポーツライターが言う。
「大山は春のリーグ戦で8本塁打を放っていますが、リーグのレベルが低いため、あまり参考にはなりません。プロではかなり時間がかかるでしょう。それに比べて、佐々木は安定感抜群。1年目からローテーションに入ってくるんじゃないですか。おまけに阪神というチームはすごいプレッシャーがある。マスコミの数も他とは違います。これだけ注目を集めてしまった大山が潰されてしまう怖さもありますよね」
もはや阪神ファンとフロントは、「お告げ」が正解だったことを祈るしかない。だが、はたして──。