背伸びをしないことが大切なのかもしれない。矢野阪神がルーキー・近本の逆転3ランで3連勝を飾ったのは4月25日。この日、目立ったのは勝負を決めた近本光司だが、4番・大山悠輔を評する声も多く聞かれた。
「矢野燿大監督が一貫して代えなかったのが、4番の大山。一時期は打率2割を切り、阪神の開幕ダッシュに失敗したのは、大山の不振だと言われていました」(在阪記者)
打撃も上向きになってきたとはいえ、打率はまだ2割6分1厘。本塁打6は物足りない(5月6日時点)。打線の軸である4番が奮わないせいもあって、今年もトラ打線は湿りがち。そのせいだろう。ヘンな同情の声も聞かれるようになった。
「チーム打率は2割4分1厘(リーグ4位)、総本塁打24は下から2番目。昨年は『打てない』とあれだけ酷評されましたが、それでも打率は2割5分3厘で、今年の現時点での阪神よりも打っています。要するに、誰が監督になっても、阪神打線は打てない、と。チーム低迷の責任を取った金本知憲氏に同情する声も出始めました」(前出・在阪記者)
同情論だけなら笑い話なのだが、指揮官を代えてもチームの成績が上らないとなれば、ドラフトでの選考法や外国人選手などの獲得基準から見直さなければならない。特に外国人選手に関しては深刻で、先発での2ケタ勝利が確実視されていたガルシアが不振で二軍降格となり、新加入のマルテは故障で出遅れ、4月29日にようやく一軍に昇格。5日のDeNA戦でマルチ安打を放つなど徐々に存在感を示し始めてはいる。が、矢野監督の大山を4番として育てたい気持ちもわかるが、さらにチーム内競争が激化すれば、チーム打率も違ってくるはずだ。
「矢野監督は選手を萎縮させまいとして、試合中、選手がヒットを打つと大げさなくらい喜んでみせます。勝っている時はベンチのムードも盛り上がりますが、打てない時はその反動で一気に沈んでしまいます」(プロ野球解説者)
矢野監督が選手に気を遣っているようだ。阪神が打撃低迷のトンネルから抜け出すまで、もうしばらく時間が掛かりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)