プロ野球界はFA選手を巡る残留&獲得の駆け引きとともに、オフの契約更改がスタートした。タイトル獲得だ、出来高だ、と大活躍での年俸アップは球団にとって「うれしい悲鳴」。だが、まったくの期待ハズレに終わった高給取りには、本物の悲鳴が上がっている。「球界不良債権男」のタイトル争いの行方は──。
パ・リーグで最も稼いでいるのがオリックスの金子千尋(33)だと聞いて、意外に思うファンも多いだろう。理由は単純。年俸に見合う成績を上げていないからだ。今季は7勝9敗、防御率3.83。6月には右肩痛で登録抹消され、約1カ月間、戦線を離脱した。
エースである金子は昨年も7勝止まりで、2度の登録抹消。チームも5位に低迷したため、通常なら年俸は大幅ダウンのはずだったが、14年オフに4年総額20億円の複数年契約を結んでいたため、現状維持の5億円でサイン。関西のスポーツメディア関係者は諦め顔でこう話す。
「チームは最下位に沈みましたが、契約を結んでいる以上、現状維持でしょう。金子みずから減額を申し出れば別ですが」
だが、来季以降もケガの不安は絶えない。金子はプロ入り前から右肘の故障を抱え、利き腕を中心に故障は数え切れず。右肘にはすでに2回もメスを入れている。さらに、昨年の登録抹消は首と右肩が原因だった。前出の関係者がため息をつく。
「右肩の勤続疲労で、もう先発ローテを守るのは難しいのではないか。昨年も今年も、抹消後の検査自体は『異常なし』だったと言われています。ただ、右肩周辺の筋肉が衰えており、筋バランスの悪さを指摘されたのだとか。右肘をかばって投げていた影響で首と肩に負担がかかり、連鎖的に故障を起こすようです」
海外FA権を行使した14年オフは、メジャーか国内球団かを天秤にかけ、大型契約を勝ち取った。そのとたん、この体たらく。はたして、オリックスは「故障のデパート」に大金を払い続けるのか──。
セ・リーグ野手トップの高給取り(年俸4億円)である阪神・鳥谷敬(35)も、今季は不良債権のレッテルにふさわしい絶不調ぶり。打率2割3分6厘は自己ワースト。本塁打7、打点はわずか36だった。
7月には5年ぶりに先発メンバーから外され、連続フルイニング出場が667試合でストップ。ここまでの鳥谷は打率2割3分5厘、10失策と精彩を欠き、スタメン落ち自体はしかたのないものだった。しかし、それを判断したのが金本知憲監督(48)だったことから、波紋が広がった。
金本監督自身も、連続フルイニング出場記録を更新していた09年当時、似たような状況で試合に出続け、チームに迷惑をかけた過去がある。当然、阪神ファンも忘れていない。
「試合後、報道陣から鳥谷の記録がとぎれたことについて聞かれた金本監督は『記録は関係ない。そういうことを聞くほうがおかしい!』とイラダチを隠しませんでした。自分は温情で出続けたのに鳥谷には厳しいじゃないか、と思われていると勘ぐったようですね」(スポーツ紙デスク)