今クールで最も数字を稼ぐドラマこそ、米倉涼子主演の「ドクターX」だ。そこで「失敗しない」秘密を探るべく、「御意男」遠藤憲一をはじめ出演者・スタッフを総直撃した! 米倉の「生足」だけではない人気の理由は、舞台裏で練りに練られたひたむきなドラマ制作姿勢にあった!
世帯別平均視聴率が10%台前半で「大健闘」と叫ばれる昨今のテレビドラマ業界。しかし初回の20.4%を皮切りに、2回の19.7%を除き、毎回20%超えを達成しているのが、米倉涼子(41)主演の連続ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)である。
今クールのドラマでトップを独走しているが、そのストーリーをおさらいしてみよう。
主人公の大門未知子は、医師派遣会社「神原名医紹介所」に所属するフリーランスの外科医。ふだんは食い意地が張っていて、麻雀を打っては負けてを繰り返すが、一度メスを握れば天才的なオペ技術の持ち主である。派遣される大病院組織内にはびこる「権威主義」にひるむことなく、患者の命を救うことだけを目的に奮闘する「仁医」の姿が描かれる。
未知子の師匠で、所属する「名医紹介所」の所長役には岸部一徳(69)。また、権力欲まみれの病院長を演じる西田敏行(69)と、あくの強い個性派が脇を固めていることも、視聴者を捉えて離さない理由である。
12年に第1期が放映されると、最終話で同年民放ドラマ最高視聴率の24.4%を記録。この年のテレビ朝日は、19時~23時の「プライム帯」で民法キー局の視聴率1位を獲得したが、その「原動力」と言われている。勢いは衰えることを知らず、現在、第4期になった「ドクターX」の誕生秘話を、仕掛け人であるテレビ朝日・ゼネラルプロデューサーの内山聖子氏が振り返る。
「米倉さんの医者ものは、ずっとやってみたかったんですが、『いい大学を出たエリートで、頭がよくて論文も書いて』みたいな一般的なお医者様のイメージに、米倉さんをどうしてもハメ込めなかった」
視聴率請負人である内山氏は過去にも、「松本清張 黒革の手帖」(04年)や「交渉人~THE NEGOTIATOR」(08年・09年)、「ナサケの女~国税局査察官~」(10年)などで幾度も「主演・米倉」とタッグを組んでいる。悩んだ末に思いついたのは、自身が手がけた「家政婦は見た!」や「必殺仕事人」だった。
「どこかから派遣されて、白い巨塔に腕一本、技術一つで挑んでいくフリーの医者──という設定を考えて、『これなら米倉さんっぽいな』ということでテーマが決まったんです」
テレビ業界では50歳以上の男性視聴者を「M3」、女性視聴者を「F3」と呼び、数字を取るためにこの層を狙う。はたして「ドクターX」も、ありがちな数字獲りをしているのか──。
「何でこんなに愛されるのか、本当のところは私にはわかりません。もちろん作り手としては、おもしろいものを、と思ってやります。F3やM3だけをターゲットにしているわけでもないのです。ただ、大門未知子という、組織の中にいたら嫌われる、友達にはなりたくないタイプのダメな人間像を、視聴者の方が『痛快だ』と受け取ってくれたことはあるかもしれません」(前出・内山氏)
そう笑いながら謙遜する内山氏だが、ドラマスタート前から、緻密な「作り込み」が行われていた。