「トランプ政権誕生」は、超大国の価値観が転換した象徴である。その激震は世界全体に及び、短期的に地球を3つに割る!
しばらく主要先進国は、「グローバリズム」を基本としてきた。「ヒト・モノ・金」の移動制限をなくし、「競争」こそ善であるとする主義である。結果、世界は99%の貧困層と1%の金持ちに分断された。好例は「シャッター通り商店街」の増加である。
「トリクルダウン」「アライアンス」など、使う本人さえ意味が理解できているのか疑問を覚える英語を使い、煙に巻くヤカラが量産されたのもこの影響だ。トランプ氏の主張した、
「メキシコ国境に壁を作る」
とは人の移動制限で、訴えたのはグローバリズムの否定だ。欧州連合(EU)もまたグローバリズム派だが、6月にイギリスが国民投票により離脱を決定した。米英の脱・グローバリズムがもたらす今後の世界像を経済評論家・渡邉哲也氏が解説する。
「米英は間違いなく、より緊密な関係となります。ヨーロッパ大陸から離脱する英国は太平洋側、つまりアメリカを見るしかないからです」
日本はアメリカと「日米同盟」をより緊密化し、トランプ氏はこれを、
「卓越したパートナーシップで、特別な関係を強化したい」
と明言している。一方、英空軍は最新鋭戦闘機・ユーロタイフーンを日本に派遣。10月中旬から、航空自衛隊と青森県三沢基地で“初”の共同訓練「ガーディアンノース16」を実施した。国際情勢に詳しいジャーナリストの山田敏弘氏が続ける。
「日英は12年から首相間で、防衛安全保障強化の覚書を交わしています。今回の反グローバル化の影響で、その協力はさらに強くなるでしょう。安倍政権は集団的自衛権の行使を容認した安全保障関連法を制定したことで、日米同盟を強化する方向で動いてきました。この関係を補完するという目的で日英の『準同盟』構築を模索しているという話もあります」
この日米英の同盟に加わるのが「インド」だ。
「今年6月に日印の防衛相会談が行われ、日米印の防衛協力強化が確認されました。狙いは海洋進出する中国への牽制です。親中路線だった前キャメロン政権が倒れて以後、英国は『親印』に転向しています。日英には、インドを介して両国の関係も強化する狙いがある。『日・米・印・英』によって中国は包囲されるでしょう」(前出・渡邉氏)
11月12日には、日本からインドへ、条件付きながら原発を輸出する協定に署名がなされた。やはり4カ国の関係はますます緊密なものとなっている。