テレビ誌記者が明かす。
「テレビ業界人専用の高級老人ホームで繰り広げられる、笑いあり涙あり恋あり、社会問題も取り上げる話です。有馬さんは私生活でケア付き高級老人マンションに入居されているので、リアル感は増すでしょう」
NHK朝ドラと放送時間帯が違うものの、テレ朝にはある思惑があった。それこそがNHK朝ドラのメイン視聴者である、高齢者の奪還計画だ。
「『ドクターX』、『相棒』などゴールデンタイムのドラマが好調なテレ朝ですが、視聴率三冠王の日本テレビに及びません。朝、手持ちぶさたの高齢視聴者を捕まえ、離さないようにすれば、NHKから数字を奪えるという計算です」(テレ朝関係者)
内閣府の2016年版「高齢社会白書」によれば、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は26.7%。若者のテレビ離れが叫ばれる中、高齢者は数字を稼ぐ金の卵なのだ。「ヒルナンデス!」(日本テレビ系)を立ち上げ、「笑っていいとも!」(フジテレビ系)を“潰した”男として知られる元日本テレビプロデューサー・村上和彦氏はこう分析する。
「ロジックはわかりますし、画期的で意欲的ですが、ムチャだなぁという印象です。『朝ドラ』は、制作費や手間の面でもNHKの一強。視聴者をシニアにしぼると、単価の高いCMがつきにくいのです。『笑点』(日テレ系)も視聴率はいいけど、利益が出にくい番組です。続いた時に資金を維持できるかが勝負ですね」
NHK朝ドラは「頑張る若い女の子の成長ストーリー」が鉄板。「高級老人ホーム」に視聴者が共感を覚えるのだろうか。当のNHK関係者が語る。
「自分たちの映し鏡のようなドラマを観たいシニアがいますかね。倉本作品はしっかり作り込まれていますし、キャストも豪勢。ただし、ステーキを朝から食べたいかは疑問です」
何より、朝ドラで数字を稼ぐカナメは「習慣性」だと、前出の村上氏が明かす。
「“朝8時の時報=朝ドラ”は、シルバー世代の生活の一部です。この習慣化に成功しているので、NHKは強い。テレ朝も習慣として定着できれば成功すると思いますが、そこまでには時間がかかるでしょう」
しかし大バクチを前に、すでに本読みも始まった現場は緊張感もなく和気あいあいという雰囲気だ。ある制作関係者が明かす。
「とにかくウルサイ(笑)。女優陣は自分の話をし始めると一歩も引かない。しゃべりだすと止まりません」
この井戸端会議によって撮影は押し気味だが、居並ぶベテラン俳優の威厳にプロデューサーや演出家も遠慮がち。現場によく顔を出す倉本御大すら、「このセリフは言いづらくないですか」と気を遣う。
もっとも、名女優の気がかりは別のところだとか。
「照明を気にしていますよ。特に痩せ気味の浅丘さん、加賀さんは『こっちから光を当ててね』と、シワが目立たないように要求しています」(前出・制作関係者)
シルバー視聴者をトリコにするのは、若い有村か、同世代代表の浅丘か──火蓋は来春、切って落とされる。