スポーツ

「ミスター・長嶋茂雄」を育んだ佐倉ものがたり(5)母・父から継いだ運動神経

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 幼少時代、青春時代の日々が、その後の茂雄の人生を決定付けたのだろう。スーパースターの階段を駆け上る前夜、この街で家族と過ごした思い出を追った。

 今回、「佐倉ものがたり」の取材で、旧知の親類縁者、関係者に会うと、意外な事実が次々に判明した。

 まずは、父方の従弟、長嶋義倫(よしみち)の話である。

「長嶋家は18代前まで遡ることができます。400年以上前、(市原市)五井のほうから流れてきた一族らしい。向こうでゴルフをしたとき、前と後の組が長嶋姓で、驚いたことがあります。うちは代々豆腐屋を営んでいました」

 菩提寺の長源寺にある先祖代々の墓には、享保年間の墓石もあり、江戸時代の早い時期に根付いた一族のようだ。

 母方の従弟、根本正一郎は13代目になる。

「根本家は江戸時代、徳川家に大きな陣幕を納め、金を数貫目いただいたという話が伝わっています。うちの屋号は染物屋を営んでいた関係で『紺屋』といいます。はるか先祖は三重県の津の藩士で、戦国時代にこちらへ流れてきたと聞いています」

 長嶋家は小柄な人が多いが、根本家は違う。

「茂雄ちゃんの母・ちよさんのお父さん、七郎じいさは運動神経抜群で、80歳になっても脚立に上って植木の手入れをしたほどの偉丈夫でした」

 いまをときめく大谷翔平(日本ハム)の両親、徹・加代子夫妻にロングインタビューしたときのことだ。翔平の運動神経と肉体は誰から濃密に受け継いだのかという話に発展し、中学時代にエースで四番、そして走り幅跳びの記録をつくった加代子の父ではないかという結論に至った。

 競馬新聞の馬柱には父・父(父方の祖父)は載っていないが、母・父は必ず出ている。王貞治の母・父は、輪島塗に金箔をほどこす腕の良い左利きの職人であった。ONから大谷まで、野球選手の遺伝子は、母・父から濃密に受け継ぐというのが、わたしの持論である。

 かつて根本正一郎の父・武雄(故人)から、長嶋利と根本ちよの結婚式について聞いたことがある。

「姉のちよは5人姉弟の長女で、末っ子のわたしとは年の差が17もあります。姉が24歳のときですから、1926年だったと思います。親戚の人が見合い話を持ってきましてね。豆腐屋の利さんのところへお嫁に行くかといわれてお見合いをしたんです。話はトントン拍子に進み、結婚式の日は羽織袴を着た利さんが人力車を伴って迎えに来ました。当時の結婚式はお祭りみたいなもんですからね。迎えに来た利さんを家に招き入れ、新郎新婦を囲み、飲めや歌えの大騒ぎ。それから利さんが姉を人力車に乗せ、利さんの家へ行き、型通りの三三九度をすませると、また飲めや歌えの宴会が朝までつづきました‥‥」

松下茂典(ノンフィクションライター)

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