投手陣に目を向ければ、リーグ奪三振王にして楽天のエース・則本昂大(25)も、5000万円アップの2億円で更改。こちらは3年の複数年契約を結んだが、その契約終了時点の19年オフに、ポスティングでメジャー挑戦できることが球団に容認された。かつて国内FA権を得る前年に、マー君がヤンキースに移籍したケースと同じタイミングだ。スポーツ紙デスクが続ける。
「則本はメジャー中継を見るために寝不足になるほどのメジャー信者。今回、3年先のポスティング移籍を球団に認めさせた背景には更改前日に食事をしたマー君のアドバイスがあったようです。マー君もポスティングを認めさせるまで苦労しましたからね。選手は1年に一度の契約更改の場でしか、メジャー移籍を希望できません。毎年毎年その話をしていくと時間がかかるし、ストレスにもなる。その点、複数年を結んで3年後の話を確約させておくのはうまいやり方ですね。球団もしばらくは年俸をアップさせなくていいわけで、メジャーに出す交換条件としてメリットがあります」
ちなみに、この「密約」をホゴにされるのが怖い則本サイドはマスコミにリークし、報道させた。
「今後は、この契約方式が主流になる可能性もある」(スポーツライター)
FA権を行使して横浜DeNAから巨人に移籍した山口俊(29)を巡っても、「メジャー」をキーワードとしたゴタゴタが繰り広げられた。水面下で火花を散らした中日との争奪戦は、マネーゲームと同時に、数年後のメジャー挑戦という「密約」が争点になっていたという。巨人担当記者によれば、
「巨人が『3年6億円』、中日が『5年10億円』などと報道されましたが、実際は中日が単年5億円を提示していた。山口のメジャー志向は強く、中日は来オフのポスティング移籍という条件込みで口説いたのですが、結局、巨人を選びました。3年7億円で合意ということですが、巨人もこれまでの方針を転換させ、ポスティング移籍容認を視野に入れていると‥‥」
実は山口に対しては夏頃、DeNAがFA移籍を阻止するべく、水面下で交渉の席を用意。ところが山口は、とうてい飲めないような巨額複数年契約を要求してきたという。
「高田繁GM(71)は『何だこれ? あの球団とデキているぞ!』『また巨人か。出るなら行け!』と激怒したそうです」(球界関係者)
巨人OBの高田GMは、この時点で古巣の「動き」を察知して真剣な引き留め工作をやめている。対する山口も、まだFA権行使を明らかにしていない段階で、何の連絡もなくチームミーティングを欠席する暴挙に出るなど、移籍は周知の事実となっていたという。
「DeNAサイドは今回の巨人と山口のやり方に、かなり怒っています。来季、山口がDeNA戦に登板してくれば、間違いなく遺恨試合になるでしょうね」(球界関係者)
ストーブリーグで生まれた怨嗟の炎は、シーズン中に大きく燃え上がる──。
それぞれの野望を抱えながら来シーズンに臨む大物たち。思惑どおりにコトが進めばいいのだが。