あの朝青龍を皮切りに白鵬、日馬富士、鶴竜と、モンゴル出身の力士が次々と横綱となり角界をリードし始めてから久しいが、その間も常に待ち望まれていたのが和製横綱。その筆頭格の稀勢の里は毎度、昇進をかけた場所で期待を裏切り続けて数年が経つ。
そんな中、ちょうど1年前の昨年1月の初場所で突如覚醒したかのように3横綱を連破し初優勝を飾った大関・琴奨菊が一躍「今度こそ和製横綱誕生」だとファンをにぎわせたことは記憶に新しい。そして翌2月には、スポーツ紙やネットでも「かわいい」「美人」と話題をさらった祐未夫人と結婚。さらに翌3月には、地元の福岡県柳川市で優勝を記念する水上パレードまで行い、まさに我が世の春を満喫したのだ。
「メディアからは横綱候補と持ち上げられ、テレビにも出まくり、美人妻を手に入れ、期待が膨らむだけ膨らんだ次の春場所では8勝7敗と期待を大きく裏切る成績。立ち合いで変化した相手力士に苦言を言うこともあり、周囲からは『綱を目指す大関の言うことか』『琴奨菊は慢心している』という声も聞こえました。その後はケガもありましたが、横綱の夢は遠のくばかり。そして、ついにカド番に耐え切れず大関陥落です。あの1回の突発優勝で運を使い果たしたとも言えますし、ファンから『浮かれてしまった』と指摘されても否定できないしょう」(スポーツ紙記者)
角界では常日頃から日本人力士には温かい目が注がれるものだが、琴奨菊の今回の大関陥落には「一発屋だった」「持ち上げられて自分を見失う人間はしょせんその程度の器だったということ」など、突き放したような冷めたコメントが多い。
本人は引退を否定。ルール上、来場所で10勝以上すれば大関にカムバックできるが、あの栄光の瞬間をもう一度手にする可能性は低そうだ。
(佐々木たける)