3月7日に開幕する第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を前に、侍ジャパンに暗雲が垂れこめている。選手には続々と逃げられ、首脳陣の能力不足が露呈、チーム内ルールもバラバラ‥‥。そんな内紛含みの惨敗必至な状況に、早くも「次期監督」が動きだしたのである。
「実は最初から、田中将大(28)、前田健太(28)、ダルビッシュ有(30)、岩隈久志(35)の招集は無理だとわかっていたんです」
こう言って侍ジャパンの内情を明かすのは、メジャー関係者である。
「侍ジャパンにメジャー組がどれだけ参加するかは、大きな問題でした。マー君はヤンキースと複数年の巨額契約を結んでいますが、今季終了後には契約をオプトアウト(破棄)してFAになる権利を持っている。本人もチームも大事な年であり、ヤンキースが参加にイエスと言うわけがありません。マエケンも右肘の不安があり、しかもドジャースではカーショーとともに先発の軸ですから、これも許可しない。ダルビッシュは『トミー・ジョン手術』明け2年目で無理はできず。岩隈はハナからWBCに興味がありませんでした」
それでもマスコミは、マー君とマエケン出場の可能性をあおった。実際、昨年の日本シリーズのテレビ解説に呼ばれたマエケンが「できれば出たい」とコメントしたが、これはWBC放映を予定しているテレビ局の仕事ゆえの社交辞令。日本野球機構(NPB)関係者が言う。
「日本ラウンドの興行は読売が、テレビ放映はテレビ朝日とTBSが手がけますが、毎回、スポンサー集めは苦しい。そこでスポンサー営業をスムーズにするため、あえて『出るかも』情報を流したのです。小久保裕紀監督(45)が昨年夏、アメリカにイチロー(43)を訪問しましたが、あれもデモンストレーションにすぎません。実際、2人の間では、出る、出ないの会話にもならなかったそうです」
集めたスポンサーに逃げられないよう、必死の「出る出る詐欺」を繰り出していた、というわけだ。メジャーからは唯一、アストロズの青木宣親(35)が参戦するが、実は「歓迎されざる戦力」だという。前出・NPB関係者は渋い顔だ。
「走攻守そろっている印象の青木ですが、守備はかなり衰えている。昨年、盗塁は7つ決めていますが、盗塁死が9つもあります。青木の中堅、DeNA・筒香嘉智(25)の左翼では、投手力と守備力を生かして守って勝つという日本の特色は生かせない。青木ではなくソフトバンクの柳田悠岐(28)が欲しかったというのが、現場の本音なんです。柳田は3年前の日米野球でMVPを獲得する大活躍で国際試合に強い一面を見せましたが、右肘の古傷を理由に辞退。青木の選出はスポンサー絡みだと聞いています」
国内球団の人選でも「不人気」ぶりが露呈。昨年12月にはやばやと19人を発表したが、その後の9人の交渉は難航していた。スポーツライターが解説する。
「WBCに出場させると、特に投手は開幕直後に1~2週間は再調整期間が必要となり、開幕ダッシュに使えない。WBCで勝っても球団に金銭面でのメリットもなく、ペナントを優先したい多くの球団からは『複数人数を持っていくのはやめてほしい』という協力拒否の声が相次ぎました」