アメリカの警告を無視してミサイル実験を繰り返し、挑発を続ける金正恩委員長に堪忍袋の緒が切れたトランプ大統領。北朝鮮の軍事拠点空爆だけではなく、「斬首作戦」で“暴君抹殺”を計画。超大国の「砲撃外交」に日本の防衛省も慌しく動きだす。風雲急を告げる極東クライシスの「Xデー」に迫る!
「我々に手出しをする勢力には超強硬対応で応じ、力強く自衛する。アメリカはみずからの横暴な行為が招く、破局的な結果の全責任を負うことになる」
4月11日未明、北朝鮮外務省の報道官がアメリカの軍事行動について、強い口調でこう威嚇した。その同日、ドナルド・トランプ米大統領(70)は自身のツイッターを更新。
〈北朝鮮はケンカを売っている〉
と応戦したことで、「米朝戦争」が一気に現実味を帯びたのだった──。
軍も含めて公職経験のない「政治の素人」が新大統領に就任後、世界に向けてアメリカの「軍事力」を誇示したのが、6日に行われた米中首脳会談の夕食会だった。アサド政権が「化学兵器を使用した」と判断して、シリアの空軍基地に59発の巡航ミサイル「トマホーク」を撃ち込んだのだ。
その3日後、ティラーソン国務長官(65)は米ABCテレビの番組で、シリアへのミサイル攻撃について、
「北朝鮮への警告の意味が込められていた」
と強調。アメリカが「先制攻撃」に踏み切るレッドライン(越えてはいけない一線)について、軍事ジャーナリストの井上和彦氏が解説する。
「6回目の核実験、または米本土にまで届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を強行した場合です。偵察衛星などで察知して危険な兆候があれば、即時攻撃するでしょう」
4月25日には「朝鮮人民軍創建85周年」の重要行事があり、北朝鮮の金正恩委員長(33)が核実験などに踏みきる「Xデー」として警戒されている。先制攻撃は、どのように行われるのか──。
「巡航ミサイルによる空爆で、軍事拠点をピンポイントで狙います。北朝鮮の軍司令部機能は、空爆に備えて地下にあると言われています。地中貫通型爆弾『バンカーバスター』で、地下施設を攻撃する可能性も高い」(前出・井上氏)
すでにアメリカの危機管理についての最高意思決定機関・国家安全保障会議(NSC)がトランプ氏の指示を受けて、金正恩氏を殺害するという「斬首作戦」を検討中と報じられている。3月からの米韓合同軍事演習には、米海軍の特殊部隊「ネイビー・シールズ」も参加。そのうち現役隊員から選抜されたエリートの「チーム6」と呼ばれる、対テロ組織部隊も初めて訪韓、演習に加わったと見られている。
軍事ジャーナリストの潮匡人氏はこう話す。
「過去にはウサマ・ビンラディンの殺害作戦を実施した最強部隊。特定の人間を暗殺、施設を破壊する能力にたけており、空爆後、『斬首作戦』を同時に実行することも考えられます」
金正恩“包囲網”は着々と狭められているのだ。