「おみやさん」「夜明けさん」などの人気テレビ番組などで親しまれていた俳優の渡瀬恒彦が多臓器不全のため、亡くなった。元々の原因は胆のうガンだという。
胆のうガンは胆のうにできる悪性腫瘍で、最初はほとんど無症状だという。日本は欧米諸国と比べると、胆のうガン発症率が高い(2013年の胆のう・胆管ガン死亡数は男性約8900人、女性約9300人)と言われているが、その原因はどこにあるのだろうか。中島医院の中島正院長が言う。
「原因はいろいろ挙げられていますが、胆石が原因と考えられています。胆石とは、胆汁の元ともいえるコレステロールなどが、胆のう内で固まってしまったものです」
コレステロールは脂質の一種で、肝臓から各細胞に運ばれるものがLDL(悪玉)、全身の細胞から余ったコレステロールを回収して肝臓に戻るものがHDL(善玉)と呼ばれている。どちらも不可欠なコレステロールなのだが、過剰に摂取すれば胆石の元になるし、生活習慣病の原因ともなる。過剰摂取によって胆汁に含まれるコレステロールが結晶化し、徐々に大きくなっていくのだが、コレステロールが体内に溜まっても初期症状や自覚症状が現れるわけではないため、余計に怖いのだ。痛みなどの症状が出始めた時は、すでに他の臓器に転移しており、末期の場合が多い。渡瀬も川島なお美(胆管ガン)もそうだった。
ではコレステロール値の高い食品(脂肪の多い肉、鶏卵、魚卵、バターや糖質の多いお菓子やアルコール等)の摂取を減らせば予防になるのか。前出・中島院長が言う。
「体内のコレステロールの80%は肝臓で作られ、食品から取り込まれるものは全体の20%ほどです。胆石を作らないために、コレステロールの摂取量を減らすということも大切ですが、それよりも肝臓を健康に保ち肝機能を正常にしておくことが重要です」
肝臓にいいといわれる食品、そしてサプリも何を選ぼうかと迷うほど数多く出回っている。中島院長のアドバイスは、
「肝臓を強くするといっても、なかなか難しい。まず肝臓を休ませて、負担がかからないようにしてあげることが一番です」
暴飲暴食に睡眠と運動不足という、肝臓に悪いことばかりの生活を変える決意こそ必要なようだ。
(谷川渓)
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