〈どこにいるの、どうか家に帰ってきて! お母さんは本当につらい〉(実母と見られる女性のフェイスブックより)
そんな悲痛な思いもむなしく、行方不明になった2日後に変わり果てた姿で発見されたベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンさん。いたいけな9歳の少女を手にかけた「鬼畜犯」の正体に迫る。
「犯人をほぼヘキ(性癖)でしぼって捜査をしている。ここ数年間で千葉や隣接県では女児連れ去り事件が多発していた。いまだ未解決の案件もあるが、未遂に終わり、容疑者が逮捕されたケースもある。現在は、そうした犯歴のある人間の中でも、“要マーク”と判断した人物について、捜査員が張りつき、行動確認を取っている」(捜査関係者)
3月26日の早朝、千葉県我孫子市北新田の利根川支流にかかった橋の下で発見されたリンさんの遺体は、身ぐるみを剥がされた状態だった。その後、ランドセルなどの遺留品が茨城県坂東市の利根川河川敷で見つかったが、
「遺体や遺留品に、犯人の体液などが付着していれば、DNA鑑定で逮捕の決め手にもなるが、なにぶん重要な証拠となる目撃証言や映像が圧倒的に少ない」(前出・捜査関係者)
犯人の正体は依然として“藪の中”だ。
リンさんが一家4人で暮らしていたのは、千葉県松戸市の住宅街。
「一見すると静かで住みやすそうな街ですが、実は空き巣やかっぱらいの被害は多く、治安はいいとは言えない」(近隣住民)
そのため、地域の防犯意識は高く、街を歩けば民家の玄関先に設置された防犯カメラが散見された。
3月24日の8時頃、小学校の修了式に出席するために家を出たリンさんは、防犯カメラや人目が少ない、自宅から150メートル以内の“死角”で連れ去られたという見方が強い。
「警戒心が強く、しかも登校中の女の子が、好んで他人の車に乗り込むわけがない。『学校まで送る』と声をかけられても、そう簡単にだまされるとは考えにくい。暴行を受けたか、睡眠薬など何らかの薬物の使用を疑う声もあった」(前出・捜査関係者)
自宅周辺では、犯人の目撃情報はもちろん、女児の悲鳴を聞いたという証言もない。ほとんど痕跡を残さず連れ去った拉致・誘拐の手口から、元警察官で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が犯人像をあぶり出す。
「行き当たりばったりの犯行ではないでしょう。リンさんの自宅周辺は主要道への抜け道になっていて、朝の8時頃の通勤時間帯は車の通行量が非常に多い。定職に就き、ふだんから定期的にここを車で通っていた、土地勘のある人間だからこそ、計画的に連れ去ることができたのだと思います」
地元住民によれば、リンさんは他の児童よりも登校時間が10分程度遅く、1人で登校することが多かったという。以前から鬼畜犯に目をつけられていた可能性は十分にある。