華はないものの同僚から高く支持されている芸人がいる。とろサーモン・久保田和靖だ。次長課長や中川家、今田耕司や東野幸治らは、彼の性格の悪さを隠さないむきだしの芸がお気に入り。ケンドーコバヤシは、「芸人としては100点、人間としては0点」と、最高の賛辞を送っている。エンタメ系に詳しい大手出版社の編集者はいう。
「売れない芸人だったころ、彼は女性の肌にタッチできるパブでアルバイトをしていました。芸人として話術を鍛えるためにはじめたのですが、わずか1年で店長になり、芸人では手にすることのなかった月収60万円を手にしています。しかし、私服警官を相手に強引すぎる客引きをしてしまい、現行犯逮捕。拘置された警察署では“7番”と呼ばれていたため、今でも7番と聞くと、ビクッとするそうです」
このころに会得した路上のキャッチセールスや店内コールは、今ではネタになっている。生粋の好奇心はやがて仕事につながり、2008年には関西ローカルのラジオ「範田紗々・とろサーモンの桃色工務店」(のちに「とろサーモン・SODの桃色製作所」)をスタートさせている。
同番組で、艶系映像制作会社との縁ができたことで、艶ビデオの構成作家として手腕をふるったこともある。昨年は、復活した日活の「牝猫たち」に、売れない芸人役で出演。夜の蝶を相手に、艶っぽいシーンに挑んでいる。
「フットボールアワーの後藤輝基は、久保田の作品と知らず、艶系DVDを借りたそう(笑)。なかなか高いクオリティだったと、感嘆していました」(前出・編集者)
お笑いだけでなくマルチに活躍を見せているのだ。
(北村ともこ)