團菊祭五月大歌舞伎で、女優の寺島しのぶの長男、眞秀君が初舞台を踏んだ。もともと、歌舞伎が好きであったのに男子でないために舞台に立てなかった寺島にとって、この“歌舞伎デビュー”は悲願でもあったという。
「寺島は、舞台に立てないだけでなく、弟である菊之助が跡取りとして遇されることに耐えられないほど嫌な思いをしてきました。ですから眞秀君の出産直後から、息子を歌舞伎役者にしてもいいと言うほど思いは強かったんです。この初舞台をきっかけに、歌舞伎の道へ進ませるという思いは固まったのではないでしょうか」(芸能ライター)
とはいえ、梨園の内側を見てきた寺島にとって、息子を歌舞伎役者にすることは大きな覚悟であるはずだ。
「歌舞伎役者の妻だけでなく、子役の母親の役割も大変なものです。今回の初舞台ではごひいきへの挨拶からお稽古の付き添いや自宅での練習の相手や監督、共演する諸先輩への配慮など、自分の生活を犠牲にするような日々で2、3カ月つぶれてしまいます。子どもを役者にしたいというしのぶに、母親の富司純子が覚悟を問い質したそうですが、それでもしのぶの決意は変わらなかったそうです」(前出・芸能ライター)
歌舞伎役者になれないという自身の悔しい思いをぶつけるように劇団に入り自身の努力でつかみ取った女優としての地位。それを犠牲にすることもいとわないという決意からは、寺島の息子にかける思いが伝わってくる。
(大門はな)