芸能

80代からが人生の黄金期だ「キダ・タロー」(1)「よう今まで生きてこれた」

 “浪速のモーツァルト”として、現在も人気バラエティ番組「探偵!ナイトスクープ」にも出演中のキダ・タロー氏は連載登場最高齢の86歳。大の偏食でヘビースモーカー。そして、現在も晩酌は欠かさない。その長寿の秘訣は意外にも‥‥。

 長寿の秘訣? 戦争に行って弾が当たらないという表現がいいと思います。戦争に行く人で弾丸に当たる人と当たらん人がおるでしょ。たまたま当たらなかっただけで、秘訣は何もありません。要するに運ですわ(笑)。

 生まれた時が、失神して生まれましたからね。泣かへんから産婆さんが足を持ってぶら下げて、パンパンとお尻叩いたら泣きだした。おふくろがだいぶ年をいってからの子でして、当時栄養もあんまりなくてひ弱な生まれやったと思いますよ。よう今まで生きてこれたなぁと思います。

──

 関西らしい独特の言い回しでこう表現するのは、「浪速のモーツァルト」ことキダ・タロー氏だ。86歳になる現在も視聴者参加型の人気バラエティ番組「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送)などのテレビ出演をはじめ、本業の作曲活動も実に精力的だ。「仕事は来るかぎりは続ける」と言い、引退して余生を保養地で過ごすという考えは毛頭ないそうだ。

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 五男一女の末っ子として生まれて、兄妹はもうみんな死にました。私がまだ小さい頃、長男は20歳そこそこで肺結核で亡くなった。結核ですから、当時は栄養とる以外、何の治療薬もない。あれは死ぬ1、2週間前かな。兄貴がアコーディオンを欲しいと言いだした。時代が時代でちょうど日中事変の最中。アコーディオンはその当時、非常に高価で、安くても60万円もした。父親は平の刑事で買う余裕もないです。アコーディオンってイボがついてますね。あのイボの数で値段が決まるんです。プロ仕様だと120個ある。あれはヨーロッパ製なんで戦争が始まると輸入もしてませんし、楽器屋さんには玩具みたいなものしか置いていなかった。いちばん安いイボが8つの玩具を親父が購入してきたんです。ただ、玩具といえどもそこそこ弾ける。それを兄貴はうれしそうに弾いてまして、それから間もなく亡くなりましたね。そのアコーディオンを私が中学の時に弾きだしたのが音楽活動の始まりです。

──

 大学を中退後、18歳でプロピアニストに転向して本格的な作曲活動に入る。現在まで3000曲以上を作曲。テレビ番組の代表的なテーマ曲「プロポーズ大作戦」「2時のワイドショー」や関西人にはなじみ深い「アサヒペン」「かに道楽」などのCMソングを手がけてきた。

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 性分がナマクラ(ナマケモノ)ですからね。作曲の仕事をいただいてもすぐに作曲にかからない。「ちゃんとできるやろうか」「どうしよ」「締め切りまで10日あるけど締め切りまでに作れるか」と思いながら締め切り前までいくんですよ。

 物書きはみんなそうみたいですね。「なんとなしに自信ないというか、ヤバイというか。ひょっとしたら俺できへんちゃうか」というのが常にありまして、にっちもさっちもいかんようになってから仕事を始めますから。案の定うまくイケへんのやけど、締め切りやから、まあしゃーないっていうパターンでずっと今日まで来ておりますから。だから、自分が作った曲で満足したものは1曲もありません。自慢やありませんけど自慢ですわ(笑)。

キダ・タロー:1930年、宝塚市生まれ。作曲家としてこれまで数多くのテレビ番組やCMソングなどを手がける。代表作に、NHK「古寺巡礼」「生活笑百科」など、作曲した作品は3000を超える。また「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送)の最高顧問としてもテレビ出演中。

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