いったいどうしたというのか。3年前には史上最年少で賞金王に輝いたゴルフ界一の大スターが、予選落ちを積み重ねている。マスコミからは「このままでは壊れていく」という切迫した声まで出る中、自身を支える「チーム」スタッフの不和、そして指導者不在という劣悪な環境が、才能をむしばんでいた。
まさに絶不調。何よりその成績が、今季の状態を如実に物語っている。これまで27戦して、実に11回もの予選落ち。戦いの舞台の半数以上をアメリカツアーなど海外に置いたとはいえ、惨憺たる数字である。並のゴルファーならしかたがない。だが、醜態をさらしているのは、才能あふれるあの石川遼(20)なのである。
石川をサポートするのは、いわゆる「チーム遼」の面々。コーチの実父・勝美氏(56)を筆頭に、大手広告代理店のマネジャー、用具契約をするヨネックスのスタッフ、キャディー、トレーナーなどで構成される。
「実は今、『チーム遼』が崩壊の危機に瀕しているんです」
と、顔をしかめて内情を暴露するのは、ツアー関係者である。
「象徴的なのは、石川のプロ転向後、全試合でキャディーを務めていたK氏との不和です。アメリカでのツアー5戦(5月24日~6月24日)に参戦する前、勝美氏が怒って『ハウスキャディーを頼むから同行しなくてもいい』とK氏に通告したんです。理由は『お前は何も役に立っていないからだ』でした。今季の低迷の原因は石川自身ではなくK氏にある、という言いぐさです。そのコースでどんなスイングをすべきかなどのアドバイスをするのがキャディー。でも実際にそのとおりに打つかどうかは、ゴルファーの能力によります」
「月刊ゴルフレビュー」編集主幹でゴルフジャーナリストの宮崎紘一氏は、この「責任転嫁」は大きな勘違いである、と主張する。
「通常、ゴルファーが雇うプロキャディーは、契約するゴルファーからの給料の他、優勝したら賞金の2.3%の手当も手にします。その代わり、事前にゴルフ場のコース状況や距離、芝の具合のチェックなど、さまざまな仕事をする重要なパートナー。状況に応じて心理的なアドバイスも行います。ところがK氏はプロキャディーではなく、アマチュアなんですよ」
どういうことなのか。K氏は石川が契約するシャフトメーカー・G社の社員であり、会社の指示により石川のキャディーを務める、いわば「素人」。G社から「チーム遼」への出向のようなものである。もちろん、給料はG社が出している。
「なのに勝美氏は石川がミスをしたら『お前はどこに目をつけてるんだ、このバカが!』とK氏をボロクソに言う。あれだけの言われ方をしたら殺意すら抱くんじゃないかと思うほどですよ。本来、ミスはプレーヤーの責任であり、勝美氏は息子をどなりつけないといけない。石川からも『(石川が)食べたものを片づけておいて』と言われて嫌そうな顔をするなど、K氏はもはやパートナーではなく下僕、召し使いのようになっています」(宮崎氏)