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長年、高齢者と接する中で女性たちの元気にはホトホト感心するというマムシさん。一方で、世の男性に対しては気がかりな点があるという。
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マイクを向けてもババアはよく喋るよ。でも、俺は声を大にして言いたいんだけど、番組でジジイに喋らせたいんだ。
女は友達が多いし、よく食べ、よく笑い、よく出かけるから、そんなに心配ない。それに比べて男は閉じこもって、認知症やうつになってしまう。それじゃダメなんだよ。出かけて、喋って、笑って、人づきあいをしなきゃ。
そのために、特に男に言いたいんだけど、「愛されるジジイ」にならなきゃダメ(笑)。別に若ぶる必要はない。自然体で清潔感があり、みずみずしく、柔軟に生きる。それが、チャーミングなお年寄りになるコツだね。
番組でも、俺とのやり取りをわかろうとしないのは、圧倒的にジジイだね。ところが、そういうジジイが最後には「今日は会えてよかった」って握手してきたりする。本当は喋りたいのに、素直になってないってことなんだよ。どこかで、社会的な地位を守ろうっていう気持ちが働いているんじゃないかな。
女性は、そういうことにこだわらないよね。自分は社長だったとか、重役だったとかさ。男たちはまず、その肩書至上主義を捨てたほうがいいね。自分が思っているほど、世間は自分のことなんか認めていないんだからさ(笑)。
でも、素直になるのもバカじゃ難しい。学力じゃなく、生きる知恵という意味でな。俺が「ババア」って言ったら「アンタもジジイじゃない!」って返す女性のようにならなきゃ(笑)。ババアの持つ、しなやかでチャーミングな強さをジジイも見習うべきだね。
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マムシさんは今後、そういうチャーミングなジジイを作ることにエネルギーを使っていきたいという。
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まずは俺がその見本になりたいと思ってさ。例えば遊ぶことだって大事なんだよ。酒も飲みすぎはいけないけど、仲間や若い連中と楽しく飲むのは大いに結構。俺の健康の秘訣は規則正しい不摂生だよ(笑)。
それから、見た目に気を遣うのも大切。年寄りがカラフルな服装をしたっていいじゃない。俺のこの白いジャケットだっていいだろう? エッ、カラー頁じゃないのか。気が利かねぇなあ(笑)。
まあ、見ててくれよ。俺が先頭に立って、渋くてチャーミングなジジイを作っていくからさ。目指すは“日本のジョージ・クルーニー”。何、笑ってんだよ。バカにしてやがるな(笑)。
毒蝮三太夫:1936年、東京・品川生まれの浅草育ち。12歳でデビュー後、舞台や映画などで活躍。68年、立川談志の助言で本名から芸名を改名。69年からTBSラジオ「ミュージックプレゼント」でパーソナリティとして活躍、現在に至る。主な主演ドラマに「ウルトラマン」のアラシ隊員など。NHK Eテレ「ハートネットTV」にも出演中!