「こないだ俺、歌ったろ。あれ、えらい評判いいな。1曲しか歌ってねーのにやたら言われるぞ。『こないだの歌、感動しました』なんてよ」
数年前に「第8回・したまちコメディ映画祭in台東区」にて、ロックバンド・サンボマスターの演奏をバックに、持ち歌「浅草キッド」を客前で歌い上げた殿は、その後しばらく、先の発言を口にされていました。今、殿の中で、長らく封印していた歌手活動再開も“ありだな”といった気持ちがはっきりと高まってきています。そんな“すっかり‥‥その気で!”な殿は、まだ日程も決まっていないのに、
「次のライブはよ、最後に俺が歌ってもいいしな」
と、相変わらずのせっかちぶりにて、次の単独ライブ構想を楽しそうに語ると、
「バンドはよ、俺の運転手がドラムできるし、ラッシャー(板前さんね)も一応サックスできるしな。あと(ギターで)義太夫もいるから大丈夫だろ」
と、なぜかバックバンドを身内で固めようとする殿なのです。別にいいのですが、少し言わせていただければ、義太夫さんは“ほぼプロ”、みたいな方ですから構わないとしても、ラッシャーさんのサックスは、“できる”といったレベルには程遠く、“ただサックスを持っているだけ”といったものなのですが‥‥。
まーそれはそれとして、殿の昨今の歌手構想です。
以前、こちらでも書きましたが、サンボマスターさんと共演された殿は、彼らにいたく興味を示されると、“もし、サンボマスターと何かやるのなら、こんなことをやりたい”と、思いつくままにいくつかプランを語った日がありました。
さらには、
「あの子たちは気が利くの?」
とも。ちなみに、この場合の「気が利く?」の意味は、“シャレが通用するの?”“お笑い的なこともできんの?”といったことでしょう。この時、殿の熱烈なファンだと聞くサンボさんですから、当然“気は利くもの”と解釈したわたくしは、「もちろんです」と、勝手に即答しておきました。
そんな会話があった3日後、殿にお会いすると、わたくしの顔を見るなり、
「おい。サンボマスターには電話したか?」
と、いきなりな発言を放り込んできたのです。どうやら殿は、わたくしとサンボさんが友達か何かだと勘違いをされているようなのです。もちろん、そのようなうれしい事実はありません。で、それから幾日かしたある日にも、
「おい、サンボマスターは何か言ってたか?」
と、またしても“サンボさんとお前はちょくちょく会ってんだろ?”的な発言を入れてきたのです。おかしいな~。サンボさんと友達なんて殿に一言も言ってないのにな‥‥。とにかく、せっかちな殿のことです。そろそろサンボさんと連絡をとらないと、まずいことになりそうです。どなたか、わたくしにサンボさんを紹介していただけないでしょうか。お願いいたします。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!