過去最大級と言っても過言ではない注目の都議選が終了。相次ぐ不祥事に苦しむ自民党をあざ笑うかのように、街頭演説を百合子グリーンに染め上げた都民ファーストは終始、“王者の余裕”を見せつけていた。支持率低下を食い止めたい安倍内閣は禁断の“切り札”を出すしかなくなったようだ。
「これでいちおう、国政に殴り込む基盤は整ったのではないか。小池百合子都知事(64)は、自身は議員バッジを付けずに勢力だけを国政に送り込む“橋下維新”を東京で再現しようとしている」
都議選終了を受け、気色ばむのは全国紙政治部デスクだ。
政界再編の兆候は都議会選公示前日の6月22日に起きた。渡辺喜美参院議員(65)が、副代表を務める日本維新の会に離党届を提出したのだ。翌日の記者会見で離党の理由を「旧みんなの党で都民ファーストの会(以下、都民F)の都議選候補者3人を応援しようとしたが(松井一郎代表に)聞き入れられなかった」と説明している。
「親しい記者には『民進党の国会議員が離党して小池氏と連携し、“第2民進党”ができたら困る』と語るなど、早急に新党結党を目指す考えを漏らしていた。渡辺氏としては橋下徹氏(48)と小池氏が新党を作ったら、相乗りしたかったんです。しかし昨秋、『小池塾』における橋下氏の講演で渡辺氏が無責任な口約束をしてしまい、関係がこじれてしまった。その際に渡辺氏は、“詫び”として小池氏が動く時には同調する約束をしたと聞いている。そもそも小池氏とは、互いに自民党議員だった08年、総裁選に立候補した小池氏の推薦人になった過去があり、関係は非常に深い」(前出・全国紙政治部デスク)
以前から都民Fは党内に「国政研究会」を設立していることもあり、小池氏の国政転身説は根強くささやかれていた。今回、渡辺氏の離党に伴い、昨夏の都知事選で選挙応援に公然と駆けつけた若狭勝衆院議員(60)、4月に民進党を離れた長島昭久元防衛副大臣(55)と合わせ、3人の国会議員が事実上“所属”していることになる。国政政党となるにはあと2人の現職国会議員が必要だが、実はすでに人数はクリアされていると見られている。残りの2人とされるのは、民進党の柿沢未途衆院議員(46)と無所属の松沢成文参院議員(59)である。
「柿沢氏は妻・幸絵都議(47)が民進党を離党し、都民Fの推薦を受けた。その責任を取って党役員室長を辞任することになったが、離党直前まで幸絵候補のビラ配りを手伝った蓮舫代表(49)は『嫁の1人も抑えられないのか』と怒りが収まらず、柿沢氏も立場がないんです。今回の都議選の結果から、党内に離党の勢いが加速することを踏まえると、柿沢氏みずからが公言する『野党再編』の可能性を求めて合流せざるをえないでしょう」(永田町関係者)
松沢氏にいたっては小池都知事と頻繁に連絡を取っていることから、安倍政権への“最大の牽制球”とまで言われている。
「都議選最中の6月26日、横浜市長選(7月30日投開票)に立候補するという情報が巡りました。本人は出馬を否定しましたが、さる支援団体が松沢氏の議員会館まで要請に訪れるというパフォーマンスを記者陣に見せつけた。現職で出馬をすでに表明している林文子市長(71)は菅義偉官房長官(68)が全面的に後押しし、三選が濃厚とされる存在。にもかかわらず、小池氏と昵懇の松沢氏が立候補を匂わせたのは、小池陣営と『たとえ落選しても国政進出の暁には後援する』という裏密約ができていたことにほかなりません」(全国紙政治部記者)