野茂英雄が海を渡って、はや17年余り。この間、数多くの日本人選手がメジャーに挑戦し続けてきた。夢を追うのはたいへん結構なことだが、その後、落ち目になってからの安易な日本球界復帰は見苦しい。いや、ありがたがって必死に迎え入れようと奔走する球団側がより見苦しいのである。
今年もまた、“メジャー出戻り組”が注目される季節となった。
今オフは例年にも増して、多くの選手がアメリカから“都落ち”してきそうな雲行きである。中でも、かなり早い段階からみずから白旗を揚げていたと言われるのが、ツインズ傘下でプレーするも自由契約が決まった西岡剛(28)だ。
10年オフにツインズと年俸総額925万ドル(約7億7700万円)という3年契約を結んだものの、1年目はケガもあり、68試合の出場で、打率2割2分6厘、本塁打0、打点19、盗塁2という体たらく。
今季もメジャーではたった3試合の出場にとどまり、12打数無安打という、カンペキな落ち目っぷりを見せたのである。
「結果が出ないばかりか、ミネアポリスの地元紙に『とんだポンコツを拾った。今世紀最大のミステイクだ』などと叩かれまくって、街を歩くだけで『ファ○ク』などと罵声を浴びせられたといいます。実は西岡、昨オフから『もう日本に帰りたい』と、彼をかわいがっていた古巣ロッテの元幹部に泣きついていたんです。ところが、ロッテの現場には不要と判断された」(球界関係者)
自身の不倫問題もあり、シーズン前には夫人と協議離婚中であることも報じられ、公私ともに「お先真っ暗」な状況のようだ。そんな苦境の中、日本球界復帰を希望する西岡だが、2年間、ろくに働いていなかった選手だけにリスクが高い。ところが、現状の年俸2億5000万円を払ってでも獲得を目指している球団があった。
今年6月の株主総会でも、株主から城島健司(36)=今季で引退発表= や小林宏(34)ら外様の高給取りを「不良債権」と非難された阪神である。歴史は繰り返されるのか。
トラ番記者が言う。
「阪神は今オフ、キャプテン・鳥谷敬(31)がFAでメジャー移籍する危険があり、内野手の補強が急務です。ロッテ時代から素行不良がささやかれる西岡の獲得には慎重論も聞こえますが、本気で獲りにいっています。そればかりか、同じくFAでメジャーに挑戦する藤川球児(32)、そして、すでに引退を表明した金本知憲(44)の穴までメジャーからの出戻りで賄うつもりです」
阪神は9月に就任した、中村勝広新GM(63)がこうした補強にやる気満々。なんと藤川不在後のストッパー候補に、今季、メジャーではわずか4試合の登板で防御率18・00という成績に終わったヤンキース傘下でプレーする五十嵐亮太(33)を考えているのだという。
「そもそも五十嵐はメジャー志向が強かったわけではなく、アイドルとのスキャンダル発覚を恐れて、ほとぼりが冷めるまでアメリカに逃げた、などと言われているくらいですから、出戻りに支障はないでしょう。しかし、メッツ時代に同僚の高橋尚成( 37 )の移籍が決まると『1人ぼっちになっちゃうよ~』と嘆いていた彼では、とても甲子園のプレッシャーには耐えられないでしょう」(スポーツライター)
その阪神が、最も熱心に獲得を目指していたとされるのが、今季はホワイトソックスで24試合に出場して打率1割7分1厘、シーズン途中に解雇されヤ軍とマイナー契約を結ぶも、メジャー昇格がないまま解雇されてしまった福留孝介(35)である。
そんな成績にもかかわらず、「2年7億円」という破格の待遇を用意しているとも伝えられた。すでに福留獲りからは撤退したとも報じられたが、ライバル球団の動向も影響しているのだろう。
福留には、他に中日、DeNA、楽天が興味を持っているという。
「福留は07年オフにカブスと4年4800万ドル(約53億円)という破格契約をしていて、今オフの交渉について親しい筋には『金じゃない』と話しています。つまり“情”が通用する状況で、楽天とは星野仙一監督(65)との関係が非常に良好です。
中日にしても、親しかったトレーナーをクビにして険悪となった落合博満前監督(58)がいなくなったため、しがらみもなくなった。中日はさらに“コーチ・監督手形”で畳みかけるようです」(前出・スポーツライター)
そんな中、最も有力視されているのが、なんと伏兵と見られていたDeNAである。