ジャック・マーは、2003年に入ると、タオバオ(淘宝)を設立した。ショッピング、オークションサイトサービス「タオバオ・ドット・コム(淘宝網)」は、03年5月から始まった。
09年段階で、タオバオの登録者数は、9800万人。2億9800万人と言われる中国のネット利用者数の3分の1にあたる。小売り売上は999億6000万元(約1兆3200億円)。中国の小売売上高の0・9%に相当する。
オークションを無料提供しているにもかかわらず、広告収入だけで黒字化を実現できた。オークションを有料化すれば、その収入は膨大なものとなるだろう。世界最大のオークションサイト「eBay」並みに8%の手数料を取れば、手数料収入だけでおよそ8000億円もの利益となる。タオバオのオークションでの取引金額は、いずれ3兆円にまで伸び、5年以内には10兆円規模になる。
それにともなって、7400万人が利用する、オークションなどの電子決済サイト「AliPay」も、必ずや利益を上げる。孫は、タオバオこそこれまで投資した事業で最大のリターンをもたらすと見ている。
ソフトバンクは、08年4月には大学生限定コミュニティサイト「シャオネイ(校内網)」を運営する「オーク・パシフィック・インタラクティブ」にも出資した。
08年4月、ソフトバンクは、チャイナモバイル・リミテッド、ボーダフォングループと、携帯電話端末を利用する新しいテクノロジーやアプリケーションサービスの開発を推進する合弁会社「ジョイント・イノベーション・ラボ(Jil)」の設立に合意した。日本におけるユーザー数では、NTTドコモ、auに及ばないソフトバンクが、香港、イギリスの通信会社と連合することで、7億人の有料課金加入者を獲得する。2年後には10億人規模となる。3社以外にもライセンスすれば、世界20億人規模の市場となる。さらに、09年4月には米ベライゾンも加わった。
その20億人に向けて、モバイルインターネットの技術を提供する。モバイルインターネットで世界一となるグループ企業をつくり出している。孫が目指すのは、モバイルインターネットで世界一。さらに、アジアにおけるインターネットのNO1企業集団になることである。