飛び切りのいいオンナという「商品」と飲むために、身なりを整えた紳士が高額な「対価」を支払う。それが、ネオン瞬く銀座のシステムである‥‥。この街は“外敵”を寄せつけず、独自の治安のもとに、まるで世界遺産のような文化を切り拓いた。だが、ここにきて、内外から危機が迫っているという──。
銀座の店から長年にわたって「みかじめ」を搾っていたと報じられたのは、國粹会若頭補佐の生井一家・梅木康明総長と組員ら7人。警視庁は6月13日に、09年から今年まで1億円を超える取り立てがあったとして逮捕した。前回報じたように「銀座に『みかじめ』があったのか!」と驚く声が多かった。
さらに7月3日、銀座の別の店からも計50万円の取り立てがあったとして、警視庁は梅木総長らの再逮捕に踏み切っている。
一部で「次はポーターの一斉摘発か?」と報じられたが、そもそもポーターとは何か? 銀座評論家であり、リアルタイムの情報をネットTVで伝える「ギンザワン」の主宰者・堂満謙一が解説する。
「ポーターは銀座の文化になくてはならない存在。お酒は飲めないけど車でやって来るお客さんとか、まれにマイカー出勤の女の子とか、そうした人たちの車をすみやかに案内するのが彼らの役目。彼らがいなくなったら、逆に悪質な客引きなどがはびこってしまう」
どうやらポーターに対する具体的な動きはなかったようだが、それだけ銀座の街が注目を集めていることの証左と言えそうだ。
そもそも、銀座を代表する「クラブ」という形態はいかにして生まれたのか──。銀座の街で60年を過ごし、現在は「銀座社交料飲組合(GSK)」の副会長の座につく奥澤健二が説く。
「諸説ありますが、もともとは戦前の『カフェ』の女給として売れっ子になった女が、客からもらったチップを元手に始めたのが『クラブ』の起源と言われています」
現在、GSKに加入する店舗は、割烹やレストランなども含めれば1400軒に上る。そのうち「一流クラブ」と呼ばれるのは、40軒ほどにすぎないと奥澤は言う。
「女の子が最低20人はいて、30坪の広さがあって一流のクラブと呼べます。店を繁盛させるのは、一にも二にも、いい女の子がいるかどうか」
奥澤は、自身も78坪の高級店を持っていた経験から、売れる子の条件をあげた。
「やはり、切り返しがうまくて、会話がおもしろい子だろうね。何を話しても楽しくなる天性の才能を持っている子と、ちょっと話したら『うるさい、お前黙ってろ!』と言いたくなる子は、実は微妙な差しかないんだけど、その小さな差がナンバーワンになっていけるかどうかだ」
いわゆる「嬢王」になれるタイプとは? その続きを“凄腕の目利き師”が語る。