そして、直接的な基地への攻撃よりも恐ろしいのが“放射能汚染”である。
日本国内の原発にミサイルが飛んでくることも十分に想定されるうえに、仮に韓国の原発が破壊された場合でも、日本列島が放射能に覆われる最悪の事態を引き起こすというのだ。
「北朝鮮に攻撃を仕掛ければ、その反撃は韓国の主要都市や原発に向く可能性が最も高い。現状、韓国国内には商業運転中の原発が20基以上ありますが、場所は4カ所しかありません。しかもそのうち、釜山(プサン)近くの古里(コリ)、慶尚北道の蔚珍(ハヌル)と月城(ウォルソン)の3カ所は日本海側に集中している。どこが攻撃されても日本への影響は甚大で、『3.11フクシマ』を超える事態すら想定されるのです」(北氏)
昨年10月、米シンクタンク「天然資源防衛委員会」上級研究員の姜政敏(カン・ジョンミン)博士らが、古里原発で最大の原子炉を有する3号機の重大事故が起きた場合のシミュレーションを発表した。
それによると、使用済み核燃料の「セシウム137」が気体化し、大気中に拡散。天候や風向き、風速を仮定して計算したところ、九州から中国、四国、近畿地方を中心に最大6万7000平方キロメートルが避難対象地域になり、2830万人が避難を迫られるという、悲惨な結果が出た。しかも、直接の被曝ではない放射能被害に限れば、むしろ韓国よりも過酷な事態を招くという。
「古里原発は福岡から約200キロと日本からも近いだけに、被害の大きさはさもありなん。しかもこれは、たった1基が破壊されたケースの試算ですからね。古里には稼働中の原発がもう5基あります。蔚珍と月城は古里の真北に位置しているので、これらが破壊された場合、関東や東北、風向きしだいでは北海道にまで放射能汚染が拡大することも想像にかたくない。日本が逃げ場のない“放射能国家化”してしまうことすら考えられるのです」(軍事ライター)
67年前の「第一次朝鮮戦争」は、日本人にとって文字どおり“対岸の火事”だった。しかし、今度ばかりは他人事ではない。目前に迫るトランプと金正恩という2人の「主役」の決断を、注視しておく必要がある‥‥。