甲子園に向けて、全国各地で熱戦が繰り広げられている高校野球。夏の選手権だけでなく、春の選抜も含めて私立校の甲子園出場経験のない県がある。そんな貴重な県は、徳島県。その理由は、徳島県内の私立校が弱いからというよりも、そもそも徳島県には私立高校が3校しかなく、さらにその中でも野球部があるのが、生光学園1校のみなのだ。とはいえこの生光学園、県大会の決勝戦に進出したこともある強豪。初めての決勝戦は95年第67回大会。この時は古豪・鳴門の前に1‐16で大敗を喫し、夢舞台の地を踏むことは叶わなかった。2度目の決勝戦はそれから16年後の11年第93回大会。これまた古豪の徳島商と対戦し、試合は8回を終わって1‐2と生光学園が1点を追う接戦となっていた。その土壇場9回表に同点に追いつき、試合は延長戦へと突入。徳島県の高校野球史に新たな1ページが書き加えられるかと大いに期待されたが、延長13回裏に2‐3でサヨナラ負けを喫し、悲願はまたも持ち越しとなってしまった。それ以降、13年の第95回大会、14年の第96回大会、16年の第98回大会とすべて準決勝で敗退し、惜しいところで甲子園に手が届かないでいる。今年の大会でもすでに準決勝進出を決めている生光学園。果たして今度こそ悲願の甲子園初出場なるか。
(高校野球評論家・上杉純也)