夏の甲子園の最多連続出場は戦前に和歌山中(現・桐蔭)がマークした14年連続出場だった。さらに付け加えると予選決勝戦での連勝記録も同じ和歌山県のチームである。それが平成の強豪・智弁和歌山だ。
智弁和歌山は87年の第69回大会から12年の第94回大会までの26年間で20回も県予選の決勝戦に進出。その間、一度も負けることなく無敗の20連勝を達成したのである。この連勝記録は14年の第96回大会の決勝戦で市和歌山に2‐3で逆転サヨナラ負けしたことで惜しくも途絶えたが、それでも初の決勝戦進出からの無敗の20連勝は驚かされるばかりである。
逆に県予選決勝戦での連敗記録は旭川東(北北海道)、二松学舎大付(東東京)、高知(高知)の3チームが最多タイの10連敗で並んでいる。このうち高知は春夏の甲子園で優勝経験が、二松学舎大付も春に準優勝経験のある強豪なのだ。
高知は、81年第63回夏の甲子園に出場後、82年~05年の24年間で県予選決勝戦に10回進出しているのだが、全敗。その間、明徳義塾に7連敗していたのだが、07年にその宿敵を7‐1で降しようやく負の連鎖を断ち切った。二松学舎大付は71年第53回の東京都予選で初めて決勝戦に進出も日大一の前に2‐12で完敗。以後、74年、80年、84年、92年、98年、02年~04年、13年と東東京都大会の決勝戦に進出するも、10連敗となかなか夏の甲子園への道は険しかった。だが、14年にその瞬間はやってきた。決勝戦進出11度目にして帝京を5‐4で降し、決勝戦初進出からの連敗を10で止め、念願の夏の甲子園初出場を果たしたのである。
一方、この2校に対して、10連敗が継続中なのが旭川東だ。その記録は同校が旭川中学だった26年に始まり、校名が変わった69年まで続いている。この44年間に10度決勝戦に進出して全敗。以後、北北海道大会の決勝戦に進出したことはなく、いまだに継続中なのだ。旭川東は、夏だけでなく春の甲子園の出場経験もない。同校が夏の予選決勝戦で勝利する日、もしくは春の選抜に出場する日は来るのだろうか。
(高校野球評論家・上杉純也)