山口俊の泥酔暴行事件は波紋を広げるばかりだ。警視庁まで捜査に乗り出す事態は、栄光の巨人軍が掲げる「紳士たれ」とは程遠い。とはいえ球界を見渡せば、“第二の山口”となりかねない、着火間近のバクダンがゴロゴロと転がっていた。
「あいつはスパイだよ、スパイ!」
球団幹部から山口俊(30)が起こした不祥事の顛末を聞かされるや、渡邉恒雄読売新聞グループ本社代表取締役主筆(91)は、こう声を張り上げたのだという。まずは事件を振り返ろう。7月11日未明のことだ。
「東京都内の飲食店で酒に酔ってガラスで右手甲を負傷し、治療のために訪れたはずの目黒区内の病院で扉を壊したうえ、止めようとした男性警備員に体当たりを食らわせ、全治2週間のケガを負わせたといいます。病院側は被害届を提出、警視庁が傷害と器物損壊で捜査をしている状況です」(社会部記者)
この日は山口の誕生日であり、前日深夜から宴が催されていた。二次会はDeNA時代から行きつけだった六本木の焼き肉店を訪れている。
「その日の山口さんは、優勝への意気込みを語る真面目な一面をのぞかせる一方で、巨人の厚遇を自慢するかのように『年俸に手をつけずに生活できるよ』と笑っていたと聞いています」(参加者の友人)
この場には元グラドルの夫人も参加していた。そのため、必要以上にハメを外せなかったようなのだが、夫人は途中で帰宅したという。
「奥さんを見送ってから、山口さんの酒のペースが上がったんです。度数の高いお酒をゲーム感覚で一気飲みを繰り返し、本人も他の参加者もロレツが回らなくなっていた。いつの間にやら右手甲にケガまで負っていたから、慌てて奥さんを呼び出したんです。病院へ連れていこうとする奥さんにも悪態をつくほどの泥酔だったと聞いています」(前出・参加者の友人)
結果、暴行事件にまで発展したわけだが、山口は球団に報告せず、翌日以降も何食わぬ顔で練習に参加していた。球団が把握したのは、すでに前日から山口の予告先発を発表していた、登板日の18日午前中だ。急遽、登板回避と事件を公表する醜態をさらすことになる。ここまで1勝1敗で防御率は6点台とチームへの貢献度は低く、推定3年7億円の“お荷物”に渡邉主筆が憤怒するのも無理はない。
「巨人は入団当初から山口の酒癖の悪さに悩まされていた。実は、山口の泥酔トラブルは今回が初めてではないんです」
と打ち明けるのは、球団関係者だ。右肩痛を訴え、春季キャンプから宮崎で3軍スタートになった山口。若手選手らは気さくな山口を「いい人」と評していたが、キャンプの打ち上げで思わぬ事件が起こる。
「酒が入るや急変し、リミッターが外れたんです。『飲め~!』と酒を強要し、尋常ではない量のアルコールを若手らに飲ませて、数人を潰したといいます。以降、若手は山口を避けるようになりました。こうした“前科”があったので、今回の一件を受けても『やっぱり』と、選手の多くは擁護していない。球団内部では“身体検査”が甘かったという話にもなっていますが、責任者は当時の堤辰佳GM(51)で、すでにGMの座を追われている。負の遺産だけ残して、『ふざけるな』との声まで出ています」(前出・球団関係者)