夏の甲子園と聞くと、毎年同じ高校が出場しているイメージの県がないだろうか。そこで、夏の甲子園に出場した高校の数が最も少ない県を調べてみた。
その結果、第1回大会から今年の99回大会まででわずか6校という県を発見。それが奈良県である。最多出場の天理(28回)を筆頭に、智弁学園(18回)、郡山(6回)、御所実(4回)、高田商(1回)、桜井(1回)。春の選抜を合わせれば計14校となるのだが、夏はやはり天理と智弁学園の私学2強の壁が厚いようだ。事実、21世紀に突入してから今年までの17年間の奈良県の代表校は天理が9回、智弁学園が7回。この2強の牙城を唯一崩したのが13年第95回大会に出場した桜井なのだ。
この年の奈良県大会決勝戦は桜井対奈良大付というどちらが勝っても夏の甲子園初出場となるフレッシュな対決となり、結果的に4‐1で桜井が快勝。県内の公立校としては00年の第82回大会に出場した郡山以来の快挙となったのだ。
奈良県の記録はこれだけではない。夏の甲子園で勝利を挙げたことのあるチームも全国で最少なのだ。前述した桜井を除く5チームのみでその内訳は天理45勝、智弁学園21勝、郡山8勝、高田商3勝、御所実1勝の計78勝。ちなみにこの5校のみというのはほかにも2県あって、一つは宮城県。仙台育英の30勝をトップに以下、東北28勝、仙台商4勝、仙台二3勝、利府1勝の計66勝。奈良県も天理と智弁学園の2強状態だが、宮城県も同様にいかに仙台育英と東北の2強状態なのかが再認識出来るデータである。
そしてもう一つは野球どころ四国の強豪県・高知県である。その勝利数1位は高知商の36勝。以下、明徳義塾32勝、高知16勝、土佐6勝、高知追手前1勝の計91勝。高知県は今年も出場を果たした明徳義塾が90年代後半からものすごい勢いで出場回数&勝利数を伸ばしているが、それ以前は高知商と高知が2強状態を形成していたことがよくわかる。
(高校野球評論家・上杉純也)