オリックスのイチロー復帰構想には続きがあった。球団フロントから「1年間は選手をやって、その後、監督をやってもらう」との声が聞こえてきたのだ。
「メジャーよりグレードは落ちるリーグとはいえ、球団もさすがに、かつてのようにイチローがヒットを量産するとは思っていないようです。イチローに連日満員の球場でプレーして現役としてふんぎりをつけてもらったら、その先に監督という道があることを交渉の材料にしています。イチロー監督が誕生すれば、WBCでともに戦った稲葉篤紀監督(44)の就任が発表されたばかりの侍ジャパンとの連携も見込めるため、NPBも大歓迎ですよ」(球界関係者)
ただし、越えねばならないハードルもある。オリックスには、次期監督として、やはり生え抜きスターで元メジャーリーガーの田口壮2軍監督(48)の1軍監督昇格という「優先事項」が存在するという。
「確かにそうですが、イチローが現役復帰しても1年で引退して空白期間ができてしまったら、田口監督が就任しても観客動員は激減するでしょう。これが引退して即監督就任なら球団史上類を見ない収益になる。その“イチローマネー”で選手も補強でき、優勝争いに食い込めばさらに利益は上がる。こうしたビジョンがあるからこそ、交渉が順調に進んでいるのを受けて、すでに田口2軍監督の説得に入っていると言われているんです」(球団関係者)
7月10日、成績が低迷するシーズン半ばで、西名弘明オーナー代行兼球団社長は福良淳一監督(57)の来季続投を早々に支持する考えを明らかにした。
「むしろ、そうするしかないんです。イチローが監督就任するまで1年だけ暫定的に、誰か別の人に監督をやらせるわけにはいきませんからね。イチロー自身も引退後の監督就任に魅力を感じているからこそ、前向きに検討しているんです。来年は選手として、再来年からは監督としてオリックスのユニホームを着たイチローの姿が見られると思いますよ」(前出・球界関係者)
野球ファンの悲願とも言える、日本球界復帰の瞬間は刻一刻と近づいている。