日本列島、猛暑が続く今年の夏。しかも猛烈な蒸し暑さだ。体力は消耗し、食欲も落ちる。そのため夏バテが続出することになる。
そんな今、旬の夏野菜のキュウリを食べればいいという。夏バテが例年以上に話題になる今年の夏。スタミナをつけようとウナギだ、ステーキだ、ニンニクだ、と精のつくものを求めがちになるが、フードコンサルタントの萩原千恵管理栄養士はこう話す。
「夏バテはだるさや疲労感や自律神経の乱れ。消化機能が衰え、食欲不振になります。このような状態の時に“精のつくもの”は、胃腸へ過剰な刺激を与え、逆効果になることが多いんです」
胃腸に刺激、負担をかけない食事をとれというのだが、中でもお勧めがキュウリだと萩原さんが続ける。
「旬の野菜は当然ながら生命力が強く、栄養価が高い。そして人間にとっても、その時期に身体に必要な栄養素が詰まっているのが旬のものの特徴です。今は温室栽培で何でも年中出回っていますが、旬のものを取っていれば健康でいられます。キュウリは夏野菜の代表。夏バテを防止するパワーが詰まっていて、さらに旬の野菜はおいしく値段も安いです」
しかしキュウリは“世界一栄養がない野菜”とギネスブックにも載っている。
専門書によれば、キュウリの95.4%は水分。かえって夏バテが進むのではないのだろうか。これに対し和漢薬の老舗メーカーの山田徳子管理薬剤師がこう答える。
「キュウリはもともと苦味の強い野菜のため、江戸時代までは打身や切り傷の貼り薬として使われていました。キュウリには養分、成分がバランスよく詰まっていて、水分が多いので夏場の脱水状態を防ぎます。ビタミンB群や、カリウム、カルシウムなどのミネラルがバランスよく含まれているので代謝を活発化させ、老廃物やナトリウム(塩分)を排出し、腎臓の濾過機能を助け、高血圧の予防や、だるさ、疲労回復、二日酔いなどにも役立ちます。また、含まれているイソクエルシトリンは身体の余分な熱を冷まし、手足のむくみから、膀胱炎、毛細血管の強化や動脈硬化の防止にも効果があります。さらに言えば、キュウリのヘタに近い皮に含まれるククルビタシンというアルカロイドにはガン細胞の増殖を抑制する働きがあると最近注目されているんです」
キュウリは優れものだった。暑い日に冷やしたキュウリをかじるのは理にかなっていたのだ。萩原さんによれば、鮮度のいいキュウリは表面のとげが固いという。浅漬け、酢の物、サラダもいい。キュウリで夏バテを吹き飛ばそう。
(谷川渓)