さらに注目すべきなのが、納豆のみに含まれるナットウキナーゼ。血栓のもととなる成分を分解する酵素だ。
血栓とは血管内にできる血の塊のこと。これが分解されるということは、血圧の降下や、血管の病気を予防することにつながる。つまり、納豆を継続的に食べることで、高血圧症や動脈硬化症、心筋梗塞、脳梗塞などの予防・改善も期待できるのだ。
消化器系から循環器系まで、食べれば確実に健康に資する納豆。その一方で、食べ方についてはエビデンス(科学的根拠)があるものからいわゆる俗説まで、千差万別。どうせ食べるのなら効果的な摂取法も押さえておこう。
【1】加熱しないで食べる
ナットウキナーゼは熱に弱く、70℃以上で働きが落ちると言われている。ナットウキナーゼの働きを期待するのであれば、納豆チャーハンなど、しっかり炒める料理は不向き。別項の納豆料理レシピ(監修とひと言メモは健康料理研究家・川上昌也氏)も参考にしていただきたい。
【2】食べすぎはよくない
一般的に市販されている1パック50グラムの納豆は約100キロカロリーと、意外と高カロリー。朝昼晩に食べると、納豆だけで300キロカロリーになる。これは脂肪に換算すると4グラム近くになる。他のおかずとの兼ね合いを考えると、1日1パック程度が最適だろう。
【3】夕食に摂る
ナットウキナーゼの効果が発揮されるのは、食後5~8時間程度と言われている。また、血栓は深夜から朝にかけてできやすい。ナットウキナーゼに血栓を分解してもらうためにも、夕食に納豆を摂ることをお勧めしたい。
納豆に縁の薄い関西出身者や女性の中には、納豆特有のニオイが苦手という声も少なくない。そんな人たちには、松生氏が考案した「オリーブオイル納豆」を紹介したい。
「私は、便秘に悩む患者さんたちにオリーブオイル納豆を勧めています。納豆に少量のオリーブオイルを混ぜるだけのシンプルな食べ物ですが、便秘改善の効果は劇的です。便が柔らかくなって排便しやすくなったり、おなかの張りが取れたりして、下剤が不要になったケースもあります」
松生氏によると、オリーブオイルは主に小腸で吸収されるが、この時、主成分のオレイン酸は短時間に限って吸収されにくいという。
このことから、短時間でオリーブオイルを比較的多く摂取すると、オレイン酸が腸内に多量に残り、腸管内容物と混ざって便が柔らかくなる。その結果、排便の促進につながると考えられるという。
「便のもとになる食物繊維が豊富な納豆とオリーブオイルを合わせることで、便秘改善の効果はさらに高まります。両者とも植物性食品ですから、思いのほか相性がよく、味もとてもおいしい。納豆特有のニオイも和らぎます。私自身も数年前から常食しており、私の娘も好んで食べています。納豆嫌いの人にも安心して試してもらえると思います」(松生氏)
梅雨も明けていよいよ夏本番。夏バテ予防のためにも、納豆の健康効果を再認識したいところだ。