社会

「原発発禁本」の戦慄内容を公開する!(4) 社内でも不評を買う前社長

 清水の退任後に社長に就任したのが西澤俊夫(61)だ。

 わずか1年間という短い社長就任期間で市民が西澤について覚えているのは、

「値上げは事業者としての当然の権利」

 昨年11月に発したこの言葉ぐらいだろう。

 東電は今年9月から電気料金を値上げした。日本中いや、世界に放射能をまき散らした東電が、誰一人責任を取らずに、のうのうと値上げを行ったのだ。

 東京電力の営業センターに勤める男性社員は語る。

「私は原子力とは関係ない仕事をしてきましたが、プライベートで知り合った人などに、東電社員だということは絶対に言いません。値上げのことで非難されるからです。現在、たとえ原価が上がっても価格には乗せられない、という事業者さんが普通ですから、『値上げは権利』発言は、東電は傲慢な会社だという印象を与えてしまった。本当にとんでもないことを言ってくれたものです」

 東電の信頼回復のため社長に就任した西澤だが、結局は逆効果だった。

 西澤にも、我々のスタッフは直撃した。白いセダンから降りてきた西澤に自宅前で声をかけると、テレビで見る実直そうな表情を変え、ふてぶてしい視線でにらみつけてくる。

「原発事故について責任を感じますか!?」「電気料金値上げについて」などと質問するが、

「無理です。無理です」

 と、西澤はマンションに消えてしまった。

 西澤のふてぶてしい表情の写真は同書に収められている。その表情を見れば、「値上げは権利」というのが西澤の、そして東電の本音だとよく理解できる。

 電力料金の値上げに、消費者はなすすべもない。電力会社はその地域の独占企業であり、他から買うということができないからだ。

 電話事業は自由化され、郵政も民営化された。電力も90年代の後半から、旧通産省で自由化を求める動きが進んだ。中心となったのは村田成二という剛腕官僚だ。95年に、電力会社に電力を売る「卸」発電事業者の設立解禁、97年には電力の小売り部門の自由化を仕掛けた。その後は、発送電分離の構想まであった。

 この自由化の動きを潰すために99年、社長になったのが南信哉(76)である。南までの社長は総務部門出身者が多かったが、南は霞ヶ関との関係が深い企画部門から選ばれた。

 旧通産省内の人脈を駆使し、自民党議員とも連携し、南は自由化を阻止し、独占体制を護持したのだ。

 南が社長だった02年、福島第一、第二、柏崎刈羽原発でデータ改ざんの不正があることが発覚。南は引責辞任する。しかし、いまだ東電顧問の地位にあり、「原発を動かせば料金も下がる」などとうそぶいている。しかも、南は08年からフジテレビや産経新聞を束ねる持ち株会社フジHDの監査役ともなっている。

「原発データ隠しで東電社長を辞めた南が監査役など、泥棒に警察官をやらせているようなものだ」

 今年のフジHDの株主総会でも、南の辞任を求める声が上がったが、いまだ南は居座り続けている。

 かくも歴代の東電社長たちは、現在ものうのうと生き延びているのだ。

カテゴリー: 社会   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
3
沖縄・那覇「夜の観光産業」に「深刻異変」せんべろ居酒屋に駆逐されたホステスの嘆き
4
段ボール箱に「Ohtani」…メジャーリーグMVP発表前に「疑惑の写真」流出の「ダメだ、こりゃ!」
5
巨人が手ぐすね引いて待つ阪神FA大山悠輔が「ファン感謝デー」に登場する「強心臓」