そもそもハリル監督と本田を巡っては、かねてから“遺恨”がささやかれてきた。両者の間に決定的な亀裂が入ったのは、W杯最終予選前半戦のヤマ場となった昨年11月のサウジアラビア戦でのこと。
「ハリル監督は重要な一戦を前に状態の上がらない本田をスタメンから外す決断をしたが、これに本田が猛反発。『自分が代表にふさわしい選手かどうかは自分で判断できる』とかみついたうえで『監督には説明する義務がある。監督に代える権利はあるけど、オレは自分で判断できる』と公然と監督批判を展開したことで、両者の溝は決定的と見られていました」(スポーツ紙サッカー担当記者)
実際、今年3月のUAE戦でも、本田はベンチスタート。代表戦2試合連続のスタメン落ちを味わった。代わりに本田のポジションに入ったのが2世代下にあたる久保。久保はこの時、所属するベルギー・KAAヘントで目覚ましい活躍を続けており、それを評価されて代表3試合目の出場となった。
その久保が1得点1アシストの大活躍。一方で、後半33分に久保の代わりに投入された本田は精彩を欠いた。別のスポーツ紙サッカー担当記者が振り返る。
「試合勘が明らかに欠落していました。パスの精度が低く、攻撃をする際にチームの足を引っ張っていた。本来、攻撃の核となり、スピードアップする時にスイッチを入れる役割を果たさなければならないのに、逆にスピードダウンさせていました。試合終了間際にドリブルで攻め上がった際にも、簡単に倒されていた。欧米の選手にも当たり負けしないフィジカルの強さが魅力だったので、これには驚きました。さらに、アディショナルタイムのフリーキックで本田がキッカーを務めましたが、精度の低いキックで、スタンドのサポーターからため息が漏れていた。5日後のタイ戦でもスタメンから外れて途中出場しましたが、内容はまったく改善されていませんでした」
本田は昨年から今夏まで、所属していたイタリア・ACミランで、ほとんど出番を得られずベンチ暮らし。ハリル監督は常々、所属クラブで試合に出ていない選手は招集しないと公言してきた。代表の顔として招集漏れだけは免れてきた本田だったが…。
「監督との“確執”の根本もこの点にあるわけです。本田がメキシコでゴールをあげて復活をアピールしても、監督は『たくさんの試合でプレーしているわけではない。直接チェックして、どのような役割を与えるか考えたい』と厳しい姿勢を崩さなかった。その役割が豪州戦でのベンチ要員だったのです」(前出・サッカー担当記者)